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密入国のタイ女性8人摘発 「人身売買」にメス 東京入管出張所
2003/11/22, 産経新聞 東京朝刊, 31ページ
■借金させ不法就労、背後に大規模組織?
東京入国管理局新宿出張所は、韓国経由の貨物船などで密入国し長野県内で
不法就労していたタイ人女性八人を入管難民認定法違反(不法入国)の疑いで摘発し
た。日本、韓国、タイにまたがる大掛かりな組織が関与しているとみられ、同出張所
は女性や少女が職業斡旋(あっせん)などの名目で多額の借金を負わされ、売春など
をさせられるトラフィッキング(人身売買)事件として、全容解明を急ぐ。入管当局
が単独で、密入国事件をトラフィッキングという側面から摘発するのは初めて。
今回摘発された八人は韓国経由の貨物船のほか、偽のシンガポール旅券を使
うなどして今年一月から七月にかけて不法入国。売春スナックで働かされていた。
密航料としてブローカーへの三百万円のほか、店からも斡旋料名目で二百万
円の借金を背負わされていた。
女性たちは不法就労目的で来日したことは認めている。ただ、売春スナック
で働かされることやそれに伴う借金の額は事前に聞かされておらず、摘発を受け「嫌
な仕事をしなくて済むので捕まってよかった」と話しているという。
法務省入国管理局によると、韓国経由の船舶による密入国は最近増えてきた
新手の手口。韓国が経由国に選ばれるのは、タイ人が日本に入国する際には必要な査
証(ビザ)が韓国なら必要ないことや、韓国から日本への貨物船が多いことにブロー
カーが目を付けたためとみられている。
入管当局は、今回摘発された女性らと同様の手口で入国し不法就労している
タイ人女性は首都圏に相当数いるとみて調査を続けている。
警察庁によると、昨年一年間にトラフィッキングの被害を受けた外国人女性
は五十五人。最も多いのはタイ人(四十人)で、コロンビア(六人)、中国(四
人)、フィリピン(二人)と続く。
国際問題化しているが、日本は米国務省が六月に出した報告書でトラフィッ
キングへの「取り組みが不十分な国」と位置づけられている。
入管当局にとっては密入国、不法就労者は「犯罪者」として取り締まる対象
だが、同時に「組織犯罪の犠牲者でもある」との発想も必要との声が現場からは出て
いる。
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≪トラフィッキング(人身売買)≫
海外から外国人女性らを不法に移送
し、借金を背負わせて国内の風俗店などで働かせて搾取する行為。政府は昨年12
月、女性の性的搾取を防止する国連の組織犯罪防止条約の人身売買議定書に署名し
た。現在、人身売買そのものを取り締まる法はなく、人身売買禁止法(仮称)の制定
を求める声もある。最近は性的搾取だけでなく、借金を背負わせ、低賃金で危険な職
場に送り込む労働搾取が目的のケースも報告されている。
不法入国などで入管に摘発されたタイ人女性は「捕まってよ
かった」と漏らした=10月30日、長野県内
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