さらに今では町へ出ずとも彼らには危険が付きまといます。
それは小奇麗なスーツに身を隠した人身売買業者が、村内にも度々顔を出すことです。「町にあるお菓子を作る工場で働かないか?」「積み荷降ろしだけで高収入だぞ」と甘い言葉で村人に仕事を持ちかけますが、実際には監禁され売春宿で働かされたり、麻薬の入った積荷の仕事であったり、利用され殺されてしまった場合が多く存在しています。
彼らは言います。「私達には学歴がないので仕事がない。子供たちには学校に行かせ、自分と同じ人生を歩んでほしくないと思っている。しかし子供たちを学校に行かせる十分なお金もないのだ。」
ミラーのエコツアープロジェクト このような問題を抱える山地民に対し、彼ら独自の文化や伝統を最大限に生かしながら彼らに職を与え、尚且つエンパワーメントを促すことを可能にする新しい観光の方法、エコツーリズムを取り入れました。 村人主導のエコツーリズムにより、村内での現金収入だけに止まらず生活の質の向上、文化・伝統の継承、自然資源や環境の保護、村のコミュニティーづくりに繋がり、持続可能な観光ができるとミラーは考えたからです。 実際の活動は、エコツーリズムを取り入れたいと希望した村で行います。 エコツーリズムを取り入れると決定した村では、若者から老人までが集まり、幾度も村の観光についての集会が開かれます。普段仕事に追われ、集会などを開かない彼らとってこのことは村を良い方向へと導きます。
老人は、新しい世代に民族の哲学や知恵を教え、母は娘に民族服の作り方を教えます。
差別され嫌っていた自分たちの民族服から現金収入が生まれるのです。さらにガイドを若者に抜擢することにより、タイや西欧文化・社会にしか関心がなかった若者たちが自分たちには何があるのか、何ができるのか、または何を見せることができるのかを考え、民族の文化・伝統を見直すきっかけに繋がります。
そして、エコツーリズムは、村の周りが自然に囲まれていてこそ成り立ちます。焼き畑や伐採などが本当に必要か否かを考え、自分たちなりの自分たちに適した自然資源保護を見出すことができるのです。 エコツアープロジェクトは村で活動をする一方で、騙され傷ついた少女たちのサポートや子供や女性が人身売買に巻き込まれることを防ぐためのワークショップ等を村、学校で行っています。