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国際協力用語集ワード詳細

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構造的暴力
Structural Violence

社会システムの中で定着し、構造化している資源配分とその決定権の不平等などのことを指します。

社会システムの中で定着し、構造化している資源配分とその決定権の不平等など間接的に人々を脅かす暴力の形態を指します。構造的暴力という言葉は、1969年に、ノルウェーの政治学者であり、平和研究者であるJ.ガルトゥングににより提唱された概念です。この概念は、労働者や農民が置かれている貧困状況や社会からの抑圧的な状況を作り出す要因が、その国や地域などの内部にあるのではなく、国際的な経済構造といった外部にあるとしています。そしてこれらの困難な状況に置かれている人々の、貧困や飢餓、教育機会の喪失などは、社会制度と国際的なシステムによるものだとしています。

貧困に喘ぐ地域の人々は、本来あるべきはずの平均寿命や可能性を構造により奪われており、これらの状態をJ.ガルトゥング氏は構造が暴力をふるうという、比喩的な概念で捉えています。例えば、日本や先進諸国に住む人には、いつでも欲しい時に牛肉を購入し、消費することのできる機会が与えられています。しかし、これらの牛肉を輸出している国では、貿易商品となり得る牛を育てるために、自国の森林を伐採したり、または牛のための飼料を大量に作らなければいけません。その結果、伐採された森林地域に住む人達が住居を失うことや仕事を奪うことにも繋がります。また、本来は自国で消費されるべき穀物が、牛の飼料として輸出用となることで、その地域の人々から重要な食物を奪うことにもなります。これらの地域や国々の人々にもたらされる結果は、貧困や飢餓という直接的な暴力が振るわれた場合と同じ状況となりますが、その因果関係はより複雑となり、暴力を行使した主体を特定することができません。これらの地域から牛肉やその他の農作物を輸入している企業、そして私たち消費者にも、その地域や国の人々から食物や生活の機会を失ったという自覚はありません。こういった構造的暴力の状態は、消極的な暴力であり、消極的な平和とも言われます。私たちには、これらの消極的暴力と消極的平和の状態に積極的に介入し、悪循環の構造を変化させ、構造的暴力を解消する積極的な行動をとることが求められます。

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