大谷中学高等学校グローバルクラス SDGsインタビュー
大谷中学高等学校グローバルクラスの紹介動画
御校のビジョンや方針と
SDGsの関連性を
教えてください
大谷高校は仏教、とりわけ親鸞聖人の教えに立脚して設立された、140年以上の伝統がある学校です。
親鸞聖人の教えを現代風に表現するならば「地球上に暮らす人々は、皆ひとつの船に乗った仲間である」となるでしょうか。
国際連合が2015年に採択したSDGsの理念は 「No one will be left behind(誰ひとり取り残さない)」です。私たちの住むこの世界は決して完成されたものではなく、まだまだ課題が山積しています。
それらの課題はどこか遠く離れた場所だけでなく、気づいていないだけで身近にもたくさんあります。
「地球というひとつの船に乗った仲間として、それらの課題が気になってしまう。」
「自分に何かできないか誰かと一緒に考えてみたい。」「すべての生命に意味があり、すべての生命が不思議な縁によってつながっている。自分に関係がないことなんて一つもない。」
そういった想いに共感する仲間たちと、
ともに学んでいく場として大谷高校は2019年度よりグローバルクラスを開設しました。
模擬国連
(Model United Nations)
SDGsは国際連合が2015年に定めた目標です。グローバルクラスでは3年間、週2コマの模擬国連の授業が設定されています。
模擬国連とは、実際の国際連合での会議と同じように、特定のテーマについて、個人ないしグループで一国の大使となり、議案の採択を目指して議論を重ねる活動のことです。
自分が担当する国は日本やアメリカのようないわゆる先進国かもしれませんし、ブルキナファソやマラウイのようなこれまであまり馴染みのない国かもしれません。
それらの国が抱える様々な事情を知り、その国の立場で自国の利益と世界平和を考えることは、グローバルな視野を養うのに最適な活動です。
また、相手を尊重しながらも自国のためになる政策を実現するために、各国と交渉する過程はコミュニケーション能力を向上させることにもなります。
11月には大谷高校が主催する模擬国連大会もあり、これまで「Water of Life」「作る責任 使う責任」などSDGsと関連したテーマで議論をおこないました。
国際関係ゼミ
(International Relationship
Seminar)
グローバルクラスでは3年間、週2コマの国際関係ゼミの授業が設定されています。
ゼミ(Seminar)は講義(Lecture)とはちがい、「自分たちで創る」授業です。資料調査やフィールドワーク、文献購読などを実施し、
世界の諸課題について自分の意見をプレゼンテーションすることがゼミの中心的活動となります。
そして、他の受講生とのディスカッションを通して、アイディアをより良いものにブラッシュアップします。
したがって受講生には、十分な準備をしてくることが必要ですし、自分の意見を主張するだけでなく、他者の意見を尊重する姿勢が求められます。
苦労や困難も多いですが、その分、課題をみんなで協力して乗り越えたときの達成感は何にも替えがたいものがあります。
これまで実施したテーマとしては、「フェアトレード」「世界の紛争」「なぜ差別が生じるのか?」「ファストファッション」「赦しとは何か?」「日本国政府は原子力発電所を廃止すべきか?」「ホロコースト」「イスラームと女性の服装について」「理想の教育とは?」「死刑制度」などがあります。
2度の留学
グローバルクラスでは1年次3月と2年次3月にそれぞれ約1か月、計2か月の留学をおこないます。
研修先は、本校が提携しているカリフォルニア大学デイビス校(UC Davis)です。UC Davisの国際教育センター監修のもと、本校にあった独自のプログラムを作成していただきます。
2020年度はコロナ禍のためオンラインでSDGsなどをテーマとしたプログラムを受講しました。2021年度は実際にアメリカに渡航することができました。
10代での最初の留学は、えてして異文化に対する期待と不安が入り交じり、とにかく色々な経験ができたということで終わってしまいがちです。
2度目がない場合であれば、そこでわかったこと―いかに英語ができないか、自分は一体何者かなど―を次のどう生かし、国際的な場面でどう対処するかを試すことがないままで卒業することになります。
2年次は1度目の留学で経験したことから、次に向けて何をしていけばよいのかを見つける期間となります。
そして2年次終了時点の3月の留学において、やり残したこと、挑戦したいことを実現していきます。留学ではホームステイをおこないます。
約1か月、ホストファミリーと過ごす中で実践的な英語力の向上はもちろん、異文化に対する理解を深めます。
たとえばクリスチャンのホストファミリーであれば日曜日に一緒に教会を訪れます。ベジタリアンのホストファミリーであれば普段と異なる食生活を体験できます。
フィリピン系のホストファミリーであれば英語だけでなくタガログ語も教えてもらえます。
学校で学ぶ知識ももちろん大切ですが、このように肌で異文化に触れることは、きっと自分の世界を広げるきっかけになります。
フィールドワーク
グローバルクラスでは学校の外に出かけるフィールドワークを定期的に実施しています。
たとえば京都市南部クリーンセンターを訪れ、私たちが排出している廃棄物がどのように処理されているのか自分たちの目で確認しました。
また、京都市内のキリスト教校を訪れて、チャペルで隣人愛について学んだこともあります(大谷高校は仏教校ですが、さまざまな宗教についての理解も必要だと考えています)。
また、国際関係ゼミの授業では自分たちでアポイントメントをとり、フェアトレードショップでインタビューもしています。
高校1年生には日本文化の授業があり、祇園祭に参加したり、京都市内の寺社仏閣を訪れることで自国に対する理解を深めています。
Otani Global
Service Project(仮称)
現在、グローバルクラスでは「誰かのために何かをしよう!」ということで、「Otani Global Service Project」を企画しています。
募金活動や子どもに勉強を教えるといった身近なことから、森林保全活動や難民支援など大きなことまで、自分以外の誰かのために何かをしてみませんか?
あなたの小さな一歩が、誰かにとっての大きな一歩になるかもしれない。あなたのアイディアをお待ちしております。
御校の魅力・特色を
教えてください!
「人となる to be human」をモットーとする人間教育を行っています。
インテグラルコース・バタビアコース(マスタークラス・グローバルクラス・コアクラス)という4つのコース・クラスがありますので、
ひとりひとりの個性にあったカリキュラムで学習することができます。
生徒会活動がさかんで、学園祭や体育大会などは例年、大変な盛り上がりをみせます。
2022年度からは制服が変更され、新しい時代に対応する男女共通性のある仕様となりました。
新しい講堂と体育館、グラウンドが完成し、のびのびとした環境のもと学ぶことができます。
どのような生徒を
育てていますか?
「外は広い 内は深い」。これは本校と縁の深い鈴木大拙先生の言葉です。
大谷高校のグローバルクラスでは様々な授業や取り組みを通して、「外」の広さを実感していきます。
また、そこで学び得た知識や経験は、どこまでも自らの「内」を深く尋ねていく礎とします。しかしながら、自分の目で自分の顔は見られないように、私たちの目には、「自分」を見つめるのにふさわしい機能が備わっていません。
だからこそ、その時々の自己を正しく映し出す「鏡」のような存在が必要です。それが仏教です。
本校の建学の理念「樹心」は、根源的存在である親鸞聖人の言葉からなります。「樹心」とは「信念を仏の教えの中に樹立する」ということです。
言い換えると、「全ての人を無条件に等しく支える大地に、根を張るがごとくしっかりと立って、たとえどんなことがあっても安心して生きていく私になる」ということです。
それを初代校長の清沢満之先生は「立脚地を得る」と表現され、そこに初めて悦んで自己を生きることが成り立つと言われました。
本クラスにかけられた願いは、「自己の確立」を目指しながら、活躍の場を広やかな世界に求めていく人間の誕生をサポートし、共に歩んでいくことです。
どのような入学生を
求めていますか?
・出会う人すべてに、優しい心で接することができる人(になりたい人)
・新しい人や知識、経験に出会いたい人
・先生に言われたことを鵜呑みにして、そのまま繰り返すのではなく、自分自身の意見を持ち、自らの考えを主張するとともに、他人の意見に耳を傾け、自分の意見に活かしていく力をもつ人(になりたい人)
・形だけの国際交流ではなく、さまざまな仲間と一緒に平和をつくっていける可能性を探りたい人
入学希望者の皆さんに
メッセージをお願いします!
「地球(the globe)上で暮らす人々は皆一つの船に乗った仲間である」という認識、これがグローバル(global)の意味。
大谷がここに開く学びのかたちは、大谷が時代にふさわしくあるために、外から新しく付け加える何かではなく、時代が大谷に求め、大谷の本来性の発揮として、時代によって呼び覚まされ、新たに開かれる学びにほかなりません。
親鸞聖人滅後154年後に生まれて、日本歴史上、生きるのがもっとも艱難であった時代を生きられた蓮如上人は、祖師の心根の肝要を、「仏法の讃嘆のとき、同行を≪かたがた≫と申すは平外なり。≪御方々≫と申してよき」と、≪御≫の一字にあると教えてくださっています(平外とは不作法、ぶしつけの意味)。
「同行」として、「かたがた」としての開けが、ときとして平準化の視界の開けの一方で、気づかないまま損なってしまっている自他への眼差し、関係の在り方、たいせつなその心根を祖師から汲み取り、「御」として広く開いてくださいました。
仏法は「御かたがた」という場、関係性を開く。個々の存在の絶対性に頭を下げるというところに成り立っている平等心、平等性への気づきを通して新たに知らされる個の尊厳、かけがえのなさへの気づきへの共感・共有こそ、わたしを、そして、わたしたちを成り立たせるもっとも確かな大地であると。
「respect」という語が大切なことばとしていつも私の胸に在ります。
「respect」とは〈re-〉=〈振り返って〉+〈spect〉=〈見る〉と辞書にあります。
ぞんざいな見切りで評価を下して、目を離してしまう。そのような私が、ふたたび振り返って見る。
もう一度向き合ってよく見つめる。そこにあるもの、そうさせるものこそ、「尊厳」であると教えてくれたのです。
辞書には類語として、「admire」「regard」「look up to」などを載せ、特に「respect」について、「たとえば同意できないとしても、その質の良さをすばらしいと認め敬意を払うこと、また、大切にされるべき意見・願望・権利などを重んじること」と説明されています。
〈たとえ同意できないとしても、大切にされるべきこととして重んじる〉、深く考えさせられる指示です。
「尊敬」が、単に〈その人の言動・業績の中に非凡な点のあることを認め、自他の模範に足る存在として仰ぎ見ること〉というだけであれば、それは平板な賞賛に終始してしまう。
「尊敬=respect」とはそうではなくて、自分の内面との闘いを通してはじめて成り立つことであり、自分が破られ、自身が従来の内から外に歩み出る。
新たに育てられるということなのだと教えてくれたのです。
世界の垣根を低くするはずのグローバル化が、「私」と「彼」、「われら」と「かれら」とを分断する力になってはいないでしょうか。
せっかく出会いながら、交わるより先にそれを拒み、否定することによってしか自分を確立できないのだとすれば、「私」とは、「われら」とは、なんと哀しくさびしいものではないでしょうか。
「自分ファースト」になってしまう、そんな危うさを感じる今だからこそあなたに、大谷はグローバルクラスを開設します。
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学校名 | 大谷中学・高等学校 |
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教育理念/建学の精神 | 樹心 ~人と成る~ |
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