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オランダ病
Dutch disease

天然資源の輸出拡大が、自国通貨の高騰などに繋がり、結果的に国内製造業を衰退させてしまう現象です。

石油や天然ガスなどの天然資源の輸出拡大が、自国通貨の高騰などに繋がり、結果的に国内製造業を衰退させてしまう現象のことを言います。イギリスのエコノミスト誌が命名したことから広まったとされています。

1960年代、オランダの北海海底で天然ガスが発見され、これを機会にオランダの輸出は拡大しました。輸出拡大は外貨収入の急増を招きますが、これによって実質為替レートも上昇します。つまり自国通貨の高騰が起こるのです。この自国通貨の高騰は労働者賃金の上昇も招くこととなり、国内製造業の国際競争力の低下も引き起こします。また、天然ガスブームによって一時的に増えた歳入増加を社会福祉制度の拡大にあてたことから、政府の支出も拡大しました。これによって一次産品価格が下落してしまいましたが、社会保障制度の水準は落とそうとしなかったため、歳入が減った状況ではさらに増税が必要となりました。このようなことから、オランダはの深刻な経済危機に陥ることとなりました。そしてこれをイギリスのエコノミスト誌が「オランダ病」と呼び、天然資源の輸出拡大によって経済が悪化する現象の名称として知られることになりました。「オランダの罠」とも呼ばれ、新興国が陥りやすい経済成長の過程で見られる経済現象と言えます。

同様の現象はロシアでも見られました。1990年代後半以降にロシアでは原油の輸出量が拡大し、輸出額も増加しました。輸出量だけを見れば2004年に頭打ちになっているとも見られますが、輸出額においてはルーブル高が続いていることから、実際には上昇基調であると考えられます。ロシアは、かつてのオランダと同じように一次産品の輸出が経済成長の大きな要因を担っていることから、オランダ病と似た景気低迷を招いてしまいました。また、このロシア経済においてはシュールガスの台頭によって大きく変化するエネルギー需給構造も影響を与えると考えられており、非常に不安定な状態と言えます。これを受けてロシアは2000年段後半以降、原油輸出に依存している経済構造からの脱却を図っており、産業多角化を目指すことで構造転換をし、経済成長を維持しようとしています。

資源の豊富さに反比例して、工業化が遅れたり経済成長が阻まれたりする現象は、「資源の呪い」や「豊富さの逆説」とも言われており、資源に依存している国の経済では今後も課題となるものです。

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