2012年3月30日 9:34 AM
【滞在期間】2012年3月7日~3月20日 【総評】大変満足 【性別】女性 【ネーム】鈴木 唯
(1)参加動機
もともと東南アジアが好きで、去年の春休みは単身インドネシアに乗り込んで2ヵ月間現地の高校で日本語の先生(インドネシア人)のアシスタントを経験しました。そこでは生徒が興味を持てるようなプリントを作成したりゲームを考えたりして少しでも日本語が好きになってもらえるように工夫しました。その経験を通して言葉が通じない学習者に教える難しさと、日本語を教える面白さを学びました。今年の春休みもインドネシアに行くつもりでしたが、映画「僕たちは世界を変えることができない。」を見てカンボジアに興味を 持ちその翌日にインターネットで検索してこのプログラムに申し込みました。
加えて、人に何かを教えることに興味があり大学では「日本語教員養成課程」を受講し修了しました。カンボジアへ行く2日前まで台湾の大学で日本語を教える実習をしていたので、それらの経験から得た知識をもとに自分なりの視点から現地の教育について考えられたらといった期待もありました。
またホームステイで現地の生活を自ら体験できるところや大好きな子どもと触れ合えるところも魅力的でした。
(2)参加した感想
カンボジアの治安や原始的な生活に対しては抵抗がなかったのですが、唯一不安だったのは現地の日本人ボランティアと上手くやっていけるかということでした。しかしそんな不安はすぐに消え去りました。毎日ひとつ屋根の下で共に起き、ご飯を食べ、ハンモックで昼寝をし、教案を立て授業に挑み、満点の星空を眺め、夜まで語り合いました。カンボジアに来る動機や目的はそれぞれでしたが、同じように熱い思いをもった仲間たちと気持ちを共有することは非常に刺激的で素晴らしい経験でした。たった数日で男女問わず本当の家族のようになっていました。2週間のあいだで沢山の出会いや別れを経験しましたが、このプログラムに参加しなければ出会えなかった、住む場所も年齢も様々なすべての仲間たちは私の宝物です。
クラスは生徒の年齢や学力ごとに分けられていましたがひとつのクラス内でも大きな経済格差や学力格差がみられました。私の受け持ったクラ スでは毎日同じ服を着て下着もつけていない子がほとんどでしたが、中にはきれいな服を着ていたりアクセサリーを沢山つけていたりする子もいました。また日本語や英語をすらすら書いて読める子もいれば、クメール語すら書けない子もいました。 日本人ボランティアの教え方がある程度ワンパターンでマンネリ化していると感じたのでクイズ形式や体を動かす教授法などを取り入れ工夫するようにしましたが、生徒の学力格差からどの程度にレベルを設定するかが難しかったです。また教科書が決められており、英語の教科書は非常に分かりにくいものでしたがそれに沿って教えなければならなかったので不自由さもありました。
1日の初めと終わりに全体ミーティングと班ミーティングがあったのですが、そこでの情報共有が非常に重要であると感じました。初めのミーティングではその日一日の授業がどのような流れで進みどのようなことに気を付けるべきか、終わりのミーティングでは一日を通してそれぞれ気付いたことと、それをふまえて今後どうしていくべきかについて話し合いました。こうすることで一人ひとりが意識をもって授業を展開でき、授業の質も上がっていきました。私は班長をしていたこともあり、授業中気付いたことはすぐにメモして翌日以降の授業につなげるように心がけました。
自分の中でカンボ ジアの子どもたちは物をあげると何でも喜んでくれる、という勝手なイメージをもっていましたがそれは違いました。子どもたちには子どもたちなりの「今欲しいもの」があります。たとえば私が行ったときは「三色ボールペン」が大人気で、普段は黒、クメール語訳は赤を使いたい子どもたちにとってかなり魅力的だったようです。それを知らずに鉛筆を持っていって渡したら「No pencil~~」と言われてしまいました。物をもらっているのだから文句を言うのはおかしいという日本人もいますが、それはただのエゴで援助をするなら相手側が望んでいることをすべきだと思います。金銭的に恵まれていない人たちは何か貰えたらそれだけでありがたがらなければいけないのかというと、そうではありません。ほかに、現地で鉛筆けずりが不足しているという情報があったので持って行ったところ大変好評でした。 寄付するときは最新のニーズを調べて持っていくことが重要だと再認しました。
またカンボジアの子どもたちはいつも笑顔で日本人に対して温厚、というイメージをもっていましたがそれは違いました。彼らは日本の子どもと変わらず、自分の気にくわないことがあれば拗ねます。思いっきり叩いてきたり体当たりしてきたりもします。さらに「いつ日本に帰るの?」と聞いてきて「○日だよ」と言うと「ペン!くつ!」と物乞いしてきます。悲しいことですがこれが現状でした。そんな中私が帰る日に「No go to Japan.」と言って泣いてくれた子が数人いて、嬉しかったのと同時に心が痛かったです。
(3)今後この経験をどのように活かしたいか
今回の経験を通して、精神的にも肉体的にもさらに成長でき自信につながりました。新しい環境にすばやく順応できたこと、言葉の通じない子どもたちと最高に仲良くなれたこと、周りの人と打ち解け協力して何かをつくりあげたこと、様々な意見をまとめ今後につなげたこと、その他多くの経験が今後の学生生活や社会人になってからも活きてくると思います。自分が経験したことだけでなく、周りの日本人ボランティアをみて勉強になったことも数多くありました。気遣い、優しさ、強さ…彼らがもっていた素晴らしい長所を自分も見習っていきたいです。
このプログラムに参加したことで、世界の貧困問題、教育問題にさらに関心を持ちました。次は世界各国から集まったボランティアと一緒に活動するプログラムに参加したいと考えています。 将来は青年海外協力隊として活躍したいです。