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現実を知るということ

2012年4月4日 1:24 PM

【滞在期間】2012年3月14日~2012年3月28日 【総評】大変満足  【プロフィール】女性 【ネーム】Bちゃん

 

 

(1)参加動機

 

大学生の頃から発展途上国の子どもへのボランティアに興味がありましたが、周囲の人たちの同意が得られずに時が経ち、社会人になりました。保育士として働き、やりがいや充実感を感じていました。しかし、「世界にはご飯が食べられない子たちがいるんだから好き嫌いはいけません。」「学校で勉強したくても勉強出来ずに働いてる子たちが他国にはいるんだから、高校を中退したいなんて贅沢なことを言ったらいけない。」と子どもに言う時は、心のどこかで私自身が何も知らないのに私は偉そうだな、と違和感を感じてました。

その違和感と大学の頃からの気持ちが合わさって参加を決めました。参加動機は自分の興味と日本の子どもたちのためでした。今では考えが甘かったと感じています。

 

 

(2)参加した感想

 

滞在中の2週間は本当に毎日、色々なことを経験させて頂きました。どれも印象的で忘れがたい経験ですが特に記憶に残っていることがあります。

スモーキーマウンテンに行った時、赤ちゃんを抱っこしている若いお母さんに出会いました。

その赤ちゃんは両手足に障害がありました。しかし、親子は表情がとても穏やかで優しく、生命力に溢れていました。その姿を見て、「発展途上国の人だから可哀相」「スモーキーマウンテンに住んでいるから恵まれていない」と言うイメージは先進国の人間の勝手な思い込み、勘違いなのだと思いました。障害のある両手でしたが、その手はしっかりとお母さんを掴んでいて、お母さんもしっかりと赤ちゃんを抱いていました。親子の愛情の強さに感動を覚えました。「泣き止まなかったから子どもを放置した」「子どもが邪魔だったから部屋に閉じ込めた」などと平気で言う親がいる日本。どちらが貧しく、恵まれていないのだろ…と考えずにはいられませんでした。

また、火事に遭い、避難生活を送っている方たちの避難所を訪れた時のことも忘れられません。

お菓子をもらって嬉しそうにしている10歳前後の男の子と出会いました。彼はなかなかお菓子を食べないので、「封を開けようか?」と声をかけると「NO」と返事をしました。どうするのだろう、と暫く様子を見ているとそのお菓子をお母さんのところへ持って行き、 たった一袋のお菓子を家族6人で分けて食べていました。育ち盛りの男の子だったので、一人で一袋を食べてもきっとお腹いっぱいには

ならないと思います。それでも、一人では食べずに家族と分けて食べよう、と言う家族を思う気持ちが私の心に突き刺さり、涙が止まりませんでした。自他共栄の精神を男の子の行動から学びました。

最後に一つ。私は日本の児童養護施設で4年間、2歳~18歳の子たちと生活を共にしていた経験があります。その中で、子どもたちのことが可愛くて大好きでありながらも、衝突することや裏切られることも多く心のどこかで子どもを恐いと思っていたり、子どもと向き合うことがしんどくなったことがあります。現地での生活で、ある人に「子どものことは本当に好きなのか?」と聞かれ、私は答えられませんでした。子どものことが好きなはずなのに、どうして「好きです」と答えられなかったのか自分でもわからず、その言葉がずっと頭から離れませんでした。もしかしたら子どものことを好きだと自分に言い聞かせているだけなのかもしれない、もしかしたら自分は保育士に向いてないのかもしれない、と何日も考えました。実はまだはっきりとした答えが出ていないのですが、保育士以外の仕事をしている自分の姿が全く想像つきません。きっと私はこれからも迷いながら、悩みながら保育士を続けます。

 

 

(3)今後、この経験をどのように活かしたいか

 

フィリピンでの経験を日本の子どもたちに伝えることが私の出来る恩返しのひとつだと思います。

どう伝えることが正しいのか、子どもの心に残るのかを今は考えています。