新型コロナウイルスの流行によって、生活の変化が全くなかった人というのは世界中を探してもほとんどいないのではないかと思う。このような世界全体を巻き込むパンデミックを人類は経験したことがなく、無論今までの世界を基準に作られたSDGsの進め方も転換を求められる。しかし、変化を求められてはいけない普遍的なものは確かにあり、SDGsの考え方自体はまさにそのうちの一つではないだろうか。現在の、先進国でさえ国内情勢に精一杯になりがちな時だからこそ、SDGsは世界全体を思い出させるための一つの旗印になる。従って、SDGsの推進にとって危機的だと言われる現況は、逆にチャンスなのではないだろうか。
今まで安定した国内情勢を前提としてSDGsに取り組んでいた国々が、自国が不安定状態に陥った時にSDGsに目を向けるとどうなるか。そこには今までの安定の影に隠れていた自国の脆さ、また世界との今までにないつながりが見えてくるのではないだろうか。
これは国という大きな枠に限った話ではない。個人としても、生活様式がガラリと変わった。他国との流通が途切れ、逆に他国を意識する生活になった。自国の流行状況を見ながらも、今までは生活に関わっていることを知らなかった他国の情勢も気にするようになった。行動が制限されたことで、逆にネットを通して生活圏外に目を向けるようになった。娯楽だけではなく、生き延びるために常に外にアンテナを張らなければならなくなった。そういう意味では、自分の世界が広がった人が多いのではないだろうか。
このような外への関心が高まっている状況下で、SDGsを世に広めることができれば、ゼロとは言わずとも目標が達成される項目は増えるのではないだろうか。私たちにができることは、今がだからこそツールを使ってSDGsを世に発信すること。そして新しい生活様式に沿った新しいSDGsの推進方法を模索することではないだろうか。