『身近なことから、みんなで解決』
私は、今パン屋さんでバイトをしている。お店の中には何十種類ものパンが並んでおり毎日多くのお客さんがパンを買いにやってくる。しかし毎日たくさんのパンが売れるといっても、絶対に一日のパンが全部売れて残らないなんてことはない。つまり毎日たくさんの食品ロスが出るということである。毎日それらを実際に目にしている私がSDGsについての理解を深める上で、目標2を考えることは最も身近であった。現時点で空腹をかかえている7億9500万人とは対照的に、毎日多くの食材を無駄にしている人もたくさんいるという事実があってもいいのだろうか。
このような課題を解決する方法は世界中でなされている。フランスでは、2016年2月から食品廃棄法が制定された。これは大型スーパーマーケットが、売れ残りや賞味期限切れの商品を破棄することを禁止し、廃棄量にあわせて罰金が徴収されるという法案である。また余った食品は貧困層へと行き届くようにボランティア団体へ寄付することが義務付けられている。問題を解決する上で最悪なことは、それが「問題」として認識されていないことである。だからこうして政府が積極的に「食品ロスの廃棄は問題である」という姿勢をとることで、全体がそれを深刻な問題であると認識し、課題解決のための行動を選択することができる。
次にアメリカでは、飲食店などの企業が食品ロスを減らすために、ドギーバックという専用の袋を普及させ、外食での食べ残し商品を持ち帰ることを推奨している。フランスの例にあげたように政府がルールを決めるだけではなく、企業の側からも課題解決のためのアプローチを行うことができる。また、取り組みを専用の袋によって目に見えるかたちで行うことで、多くの人の関心を集め広めていくことができる。
企業や政府による取り組みだけではなく、国民による取り組みも課題解決の大きなステップである。もちろん、ご飯を残さないようにするだとか、買い物に行くときには無駄なものを買いすぎないように気をつけるという簡単なことから始められるが、スペインに特筆すべき取り組みがある。スペインでは、地域ごとの連帯冷蔵庫が設置されており、一般家庭や飲食店からでる余剰食品もしくは賞味期限の近づいた食品をこの冷蔵庫にいれ、貧困者の手へわたるようにした。このように国民みんなで食品ロスを解決しようとすることができる仕組みはとても重要である。食べ物を無駄にすることなく地域全体で循環させるシステムを作ることで、食品を捨てて無駄にするのではなく、今日明日の食事に困っている人のもと・ニーズのある場所へと送り届けることができるのである。
このように、生活を支えるすべての機関が連携・協力しあうことが問題解決への道を開ける。そして世界各国の知恵を共有し合うことも解決のための大きな近道となるとおもう。私自身、身近な「食品ロス」という問題から考えて調べてみると各国でたくさんの対策がなされていることを知って驚いた。SDGsについて知ることは、身近にある課題から世界のかかえている課題とそれに対する解決法を知り、積極的に自分自身もかかわっていくとてもいい機会であると思う。世界中の個人個人が同じようにSDGsについて考え、どんな問題も遠くの知らない誰かのお話ではなく、自分もそのサイクルの中に位置しているということを自覚しながら、少しずつ自分ができることを探していく必要がある。だから私ができることも同じで、SDGsについて知り、身近なことから問題解決に取り組むこと、そしてそれを周囲に共有していくことで世界に貢献することができると思う。