『私達が今できること』
持続可能でより良い世界を目指す国際目標であるSDGsは現在、私達の社会にも広く浸透してきました。しかし私達個人としてはどうでしょうか?私達は達成に近づいているのか、それとも遠のいているのか。私達が害を与えてしまっているけれど、私達の取り組み次第で未来を変えることができる。私はそれを以前学校で行われたSDGs講演会で関心を持った「ファストファッション」という問題に沿って述べていきます。
ファストファッションとは、最新の流行を採り入れながら低価格に抑えた衣料品を、短いサイクルで世界的に大量生産・販売するファッションブランドやその業態のことです。
ファストファッションの多くは世界的に有名なブランドばかりであり、H&MやZARA、GAPなど一度は耳にしたり、着たことがあるでしょう。私がファストファッションに興味を持った理由も自分が着ている服がそれらに該当しており、決して他人事でない身近な問題だと感じられたからです。これらのブランドの最大の特徴はほとんどの服が手の届きやすい価格であり、常に最新を取り押さえていることですしかしファストファッションは主に三つの側面で地球環境に深刻な影響を与えています。
一つ目は有害物質による環境破壊です。ファストファッションで使用される素材や染料は化学物質的なものが多く、工場からの排水で海が汚染されてしまい、海洋生物だけでなく人体にも悪影響が及んでしまいます。
二つ目は劣悪な労働環境です。ファストファッションを生産する人たちが働く環境は非衛生的であったり、長時間働かせ続けられたりしています。例として、2013年に起きた死者1138人のバングラデシュの縫製工場の倒壊事故「ラナプラザの悲劇」はこの二つの要因から発生しました。
三つ目は廃棄物の量です。ファストファッションは、制限コスト削減のために服を大量生産します。そしてそれらの製品は素材の品質の低さによって廃棄されやすく、結果的に廃棄されやすくなっているのです。現時点で、日本における衣類廃棄量は年間約100万トンとなっています。
近年、このような問題に対してアパレル業界では環境に優しい社会を作るために様々な対策を行っています。それらの取り組みの一つとして「サステナブルファッション」への転換があります。環境性、社会性、経済性が配慮されたサステナブルファッションの具体的な取り組みは、UNIQLOでのプラスチック使用削減に向けた4つのサステナブル対策やBEAMSのデッドストック品を中心としてリメイクでアップサイクルしたブランドの立ち上げなどが挙げられます。
私達はこの問題の解決に、どのように取り組めばいいのでしょうか。もう二度と、ラナプラザの悲劇を起こさないためにもまずは知ることです。自分が着ている服がどのような過程で作られたのかを知ることは海外団体Fashion Revolutionのスローガンにもなっており、SNSなどで拡散することで労働環境の現状を周りに知らせることもできます。またプラスチック汚染を防ぐために過度に洗濯をしすぎないことも重要です。そして、廃棄量を減らすために流行を追わずに一つ一つの服を大事に扱うことが必要です。この二つの取り組みを行うことで、私達は地球の環境を守る手助けが出来るのです。流行りという自分の一瞬の欲を優先し遠のいてしまうのではなく、劣悪な環境で働く人々や犠牲となる生き物、場所、地球のため、サステナブルのためにSDGs達成に近づく一歩を踏み出さなければなりません。