『若者と高齢者』
私は、SDGsの「すべての人に健康と福祉を」について書きたいと思う。
私がこの問題を考えようと思ったきっかけは、祖父の病気である。祖母は何年か前に他界しており、祖父は一人暮らしだ。そんな祖父を心配して母は祖父の家に通っていた。そして、時々私もついていった。
ある日、私が母とともに祖父の家に行くと、祖父はどこか元気が無いようだった。だが、もともと口数の多い人ではなかったので、私も母もそこまで不思議に思うことはなかった。コロナウイルスの事を考え、祖父とは別々の部屋で夕食を済ませ、祖父がリビングに来るのを待っていた。しかし、祖父は一向に来る気配がない。そのとき、母も私も何かおかしいことには薄々気づき始めていた。心配した母が祖父の様子を見に行くと、ヨーグルトの蓋を開けようとしていたらしい。けれども、蓋はなかなか開けられず、スプーンもうまく使えていなかった。ほどなくして食事を諦めた祖父は、リビングにやってきた。呂律はまわらず、マスクもうまくつけられていない様子を見て、間違いなく脳の病気であるだろうと私も母も思った。土日のため、もうどこの病院も開いているような時間ではなかったので、母は救急車を呼び、祖父は渋る素振りを見せながらも搬送されていった。病院で見てもらった結果、命にかかわるようなものではないことがわかったが、手術が必要だと知らされた。祖父は手術を受け、ある程度以前のように話せるようになった。だが、入院生活によって足腰が弱り、祖父は一人で歩けなくなっていた。私は介護を手伝ったが、痩せたとは言え成人男性を支えるのはなかなかに骨が折れた。
これまでは高齢化社会と言われてもどこか他人事だったが、祖父の介護を手伝う中でこれからの世の中がどんどん高齢者だらけになり、私たち若者がそれを色々な面で支えていかなければならなくなることを強く実感した。人の世話をするのは想像以上に肉体的にも精神的にも大変であり、お金もかかる。そんな中で私たちはどう高齢者と向き合っていくのか、それをもっと深く考えていかなければならないと思った。