『SDGs達成の最も大きな脅威』
SDGsを達成する上で今最も大きな脅威となっているものは何だろうか。私はウクライナ紛争であると感じている。この論文では、私がそう感じている根拠と、この脅威を打破するために今私たちにできることについて主張しようと思う。
そもそもSDGsとは、2015年に国連によって採択され、現在から未来に向けて、人間、地球平和及び繁栄のための共通の行動計画だ。全部で17項目あり、2030年までにはすべて達成するように設定されているが、進行中のウクライナ紛争はこの行動計画を達成する上で最も大きな脅威となっている。もう少し掘り下げると、大きく分けて二つの問題がある。
一つ目は人命、人権に関する問題だ。この戦争によって10万人近い犠牲者が出ており、その中には子供も多く含まれている。また避難民は1300万人以上発生しており、彼らの生活や教育など、基本的人権の保障が脅かされている状況である。これにより、SDG1 、SDG2 、SDG3、SDG4、SDG16の5つの項目に反している。
二つ目は社会経済に関する問題だ。日本にも影響のある問題なので身近に感じる人は多いだろう。今誰もが頭を抱えている問題である、物価高だ。この物価高の影響で、日本だけでなく世界全体の経済が滞ってしまっている。例えば日本は、この1年で一般家庭の生活費は10%ほど上昇した。この物価高の影響で生活に苦しむ人が増えてしまっている。これにより、SDG1、SDG8、SDG9、SDG11 の4つの項目に反している。
直接的に関係している項目は計8個だが、間接的に関係している項目も他にあるだろう。ただ、少なくとも17項目中8項目がウクライナ紛争により達成できないのは紛れもない事実である。この事実こそが、ウクライナ紛争がSDGsを達成させる上で今最も大きな脅威である根拠だ。
次に、この脅威を打破するために今私たちにできることだが、結論から言うとそんなものはない。だが、巷でよく行われているウクライナへの募金や支援は、間違いなくウクライナの人たちの助けになっている。しかし、いくら私たちが募金や支援をしたところで戦争は終わらない。
つまり、ウクライナ紛争はほぼ間違いなくSDGsを2030年までに達成させる上で最も大きな脅威であるが、私たちがこの問題を打破することは不可能だということだ。この調子で2030年に私たちは笑えているだろうか。もしくは、2040年には達成させよう。2050年には…とどんどん先延ばしになるだろうか。果たしてSDGsとは先延ばしにしていい程度の目標なのだろうか。今の状況を突き詰めれば突き詰めるほどゴールが遠くなっていく。
最後に、ウクライナ紛争に対して私が思うことを主張しようと思う。国と国が争うことは何も悪いことだとは思わない。各国に考え方や価値観、守りたいもの欲しいものがあるのは当然のことだ。ただ、争い方を変えるべきだと思う。今一度、SDGsの在り方、命の価値、守るべきものを見直すべきだ。
【参考文献】
朝日新聞出版【現地取材400日で見えたウクライナ侵攻10の焦点】朝日新聞取材班
池田泉州銀行(https://www.sihd-bk.jp/personal/column/money/causes-of-price-increases-and-countermeasures/#moku01)
東京新聞(https://www.tokyo-np.co.jp/article/232852)
外務省(https://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/oda/sdgs/about/index.html)