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保護する責任とは、カナダ政府を中心とする、干渉と国家主権に関する国際委員会が2001年に提唱し、2005年に国連総会特別首脳会議にえ採択された「成果文書」に記載された、国民の保護をする責任に言及した概念を指します。
保護する責任は、予防する責任・対応する責任・再建する責任の3つの要素からなっています。予防する責任は、開発援助や統治、法の支配への支援などによって、人々を危機に陥れる原因の予防に取り組む責任です。対応する責任は、制裁、訴追、軍事介入などによって保護を必要とする人々を保護するための対応をとる責任です。再建する責任は、復興・再建のための支援を提供する責任です。
保護する責任という概念が生み出されたのは、ルワンダ虐殺の悲劇がキッカケの1つと言われています。ルワンダには、フツ族とツチ族という、同じ言語を扱い、共に暮らしている民族が暮らしているのですが、フツ系の大統領が暗殺されるとともに、大規模な内戦状態に発展してしまいました。この紛争によって、50万とも100万とも言われる多くの人々が、その命を落とすこととなってしまったのです。この時に、被害をより大きなものとしてしまった原因の一つと言われているのが、国連の動きの遅さでした。当時、国連は有効な手を打つことができませんでした。その理由と言えるのが、まず第一に、、国連が掲げている内政不干渉の原則です。国連は各国の内政に口を出さないのが原則でした。また、そもそも平和維持軍の目的が、停戦を監視するというものであって、それ以上の権限を保持していませんでした。それに加えて、ルワンダが小さな国で資源もなく、介入するメリットがなかった点も国連が動かなかった理由の一つと言えます。
この時の反省もあり、ルワンダの平和維持軍の司令官の出身国であるカナダが中心となり、「保護する責任」が提唱されました。