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新興感染症とは、1990年にWHO(世界保健機関)によって、新しく認識された感染症の中で局地的あるいは国際的に公衆衛生上の問題となる感染症と定義されています。新興感染症の全てが命にかかわる病気を引き起こすわけではないですが、発生初期に原因や感染経路がわからないため、急速に世界中に広まってしまうという危険性があります。
新興感染症に指定されている感染症は、重症急性呼吸器症候群(SARS)や、エイズ、エボラ出血熱、腸管出血性大腸菌O157、メチシリン耐性黄色ブドウ球菌、抗病原性鳥インフルエンザなど沢山の感染症が報告されています。新興感染症の問題点としては、2003年に発生し世界中をパニックに陥れたSARSからも考えられるように、原因となるウィルスや細菌などの病原体の特定に時間が掛かり、またたく間に感染が世界中に拡大してしまうことです。また、ワクチンなどの治療薬ができるまでには、とても長い時間がかかるため、予防も治療も難しいということです。このような新興感染症が起る原因としては、ジャングルや密林の無制限な開発や、世界的な交通網の発達、地球温暖化などがあります。エイズは、もともとは、アフリカの限られた地域にしか見られなかったその土地特有の病気でした。しかし、1960年代頃から高速道路が整備されたことによって、人々の移動が活発になり、急速に感染が広がっていきました。SARSの場合も、中国で最初に感染した人が、自分がSARSとは気づかないまま外に出かけてしまい、またたく間に世界中に感染が広まってしまいました。また、今後懸念されているのは、地球温暖化の問題により、これまでみられていなかった感染症が新たな場所で発生することです。
新興感染症の発生の予測をすることは、大変難しいと言われています。交通網も発達しているため、一度感染が起きればものすごいスピードで世界中に広がる危険性があるため、一つの国だけで対応することは難しいでしょう。日常的に、世界の国々との連携を図り、感染症の情報の収集や分析を行い、発症した地域での疫学調査や、患者を速やかに隔離し拡大の予防をする必要があります。また、新しい感染症の原因となる細菌やウィルスの断定をすぐに行えるよう様な検査法や技術の開発や、予防薬や治療薬の早期の開発が非常に重要です。