※一部一致でも検索されます。
※レポート・論文・WEBサイトなどでのご利用の際は参照元として記載・リンクをお願いいたします。
人はみな、生まれながらにして自由であり価値があります。国籍や年齢、性別も関係なく、「人間らしく生きる権利」、つまり「人権」が与えられています。この権利は、言われなく侵害されたり奪われたりしてはなりません。実際、世界各国でこの権利を守るための法律が作られています。
人類のこれまでの歴史の中には、この人権を侵害しようとする権力者は多くいました。奴隷という形で人間が商品として売り買いされていたり、罪を犯せば命にかかわるような拷問も平気で行われ、性別によっては教育を受けられず、宗教や芸術では、思想や表現にも規制がありました。人類の長い長い歴史をひも解いてみると、人権という概念はまだまだできて日が浅いものです。近代的な人権宣言は近代革命と共に生まれたと考えられています。しかし、20世紀に入ってからもその観念は度々国家によって侵害されているのは歴史的事実です。大量虐殺や戦争は、今この瞬間にもなくなってはいません。まだまだ人類にとっては、解決せねばならない大きな課題となっています。
しかし、人類の意識は進化してきました。1984年、第三回国際連合総会にて、「世界人権宣言」が採択されました。すべての人民と、すべての国が、生まれながらにして持っている基本的人権を守ろうと公式に初めて認めたものとなりました。この宣言は、条約でなく決議であるため、法的な拘束力はありません。そのため、守らなければ罰則がある、というわけではないのですが、人類のこれまでの歴史から見ると、平和への大きな一歩となっているのは確かです。その後、この世界人権宣言を基礎に、多くの条約が生み出されていきました。
世界の平和を望むなら、人権問題の解決は避けて通れません。肌の色や性別による差別は、放置していればやがて大きな戦争へと移行していきます。実際、世界各国では紛争が絶えず、貧しさから教育が受けられない、奴隷として売られてしまう人々がまだまだいるのです。
世界人権宣言が採択された後、多くの国々に広められたとはいえ、まだまだ確実に活かされているとは言い難い状況です。しかし人権の保護は、口先だけで終わらせることなく、これからも続く人類の歴史のためにも必ず実現しなくてならない大切な目標だと考えられています。