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この国際連帯税の提案は、1970年のジェームズ・トービンによって提唱されたトービン税まで遡ります。当初この国際税金システムが提唱された際には、その画期的な案から大きな注目を集めました。ただこのシステムでは、全ての国が同時に債権を購入しなければ効果が出ないために、改良を加えた案が模索されていました。そしてその後の2005年のダボス会議で、フランスの前大統領であるシラク大統領により、この国際連帯税の具体的な案が提唱されたのです。しかし、国や国境を超えての様々な規制や問題により、未だにこの国際連帯税は実現していません。そしてもしこのシステムが実現すれば、発展途上国と先進国の間にある格差の是正や、先進国が発展途上国の資源を搾取し、そのエリアを貧困に貶めるなどの構造的な暴力への解消に大いに役立つことでしょう。
この国際連帯税のシステムを解りやすく説明するならば、地球規模で起こる経済活動から、その税を天引きしていく方法となります。このシステムでは、グローバルに展開していく経済活動を通して生まれる富を、その地域に向けて再分配して行こうとしていくものです。具体的な例を上げて見れば、国と国の間を常に行き来し経済活動を行うものに、航空機があります。国際連帯税では、これらの国々を往来する航空券などに連帯税を付加することなどを、具体的な案としてあげています。その他にも物品の輸出入には欠かすことのできない、海上輸送や航空輸送、そして海外の主要な都市に、その経済活動を展開する企業を対象とした多国籍企業税、また海外に輸出入される武器に関する武器取引税、そして世界的に取引される株などの債権に課せられる、金融取引税などた、この国際連帯税の項目の中に提唱されています。しかし、この国際的な税制度を実現するには、タックスヘイブンに関する対策や、国際タスクフォースの設立が必要不可欠となってきます。タックスヘイブンに関しては、既にノルウェー政府主導により現実的な取り組みが行われています。しかし国際タスクフォースに関しては国を超えた様々な課題があり、依然として主導となり活動を行う国や地域が存在しません。
国際連帯税を導入し、これからの地球規模の環境や貧困、そして経済格差に取り組むためには、これらの課題を解消することが最重要課題といえることでしょう。