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難民が生じる主な理由として民族紛争や国家間の戦争や、人種的な差別、宗教対立での迫害等が挙げられます。政治的な迫害もありますし、飢餓や伝染病や自然災害、経済的な貧困も要因となっています。国を出たり追われた人々は多くの場合、他の国の庇護を求めなければなりません。何かしらの弾圧等で迫害を受けた人に対し、国際社会は救済や支援等協力をしなければならない事が義務つけられています。
1951年にスイスのジュネーヴで、難民及び無国籍者に関する国際連合全権会議が行われました。その会議で、難民の地位に関する条約である難民条約が採択されています。この条約では、難民はどんな物なのか定義されました。保護をする為に、行政はどんな措置をしなければならないのか、そしてノン・ルフールマン原則が定められています。ただこの条約では、対象エリアがヨーロッパに限定されていたのです。対象に関しては、1951年の1月1日以前に生まれた難民に限られていました。そのため、1967年の国際連合により定められた難民議定書で、対象エリアや1951年以前というような時間による限定は撤廃されています。貧困が原因による国外への脱出等は、単純に政治的な問題で追われた人などと識別が困難です。そのために特別な認定を受けなければ、人道支援等は受けられませんでした。しかし人権への配慮は無視できなかったのです。結果、庇護申請者や、国内避難民と言う事で支援が受けられるようになりました。2010年、UNHCRによる難民と庇護申請者の統計が出ています。アフリカだけでは無く、ヨーロッパや南アメリカや北アメリカ、オセアニア地域等でも存在していましたが、実際に一番多かったのがアジア圏でした。
この統計結果はイメージとラベルという問題に関連してきます。難民という言葉を見た時に人のイメージではアフリカの黒人や子供等が多いとされています。しかし統計ではアジア人が非常に多いという結果が出ました。イメージと現実が違っているのです。イメージとラベルの問題は人間の尊厳にも関連する問題であり、大きな危険性を秘めています。このイメージとラベルを利用した人権ビジネス等が横行していることも問題として挙げられるでしょう。支援物資や活動費が送られて支援を受けることにより、個人個人の労働に対するモチベーションが低下したり、あるいは生活を維持して行く力を減退させるのではないかという指摘がされています。