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国際原子力機関(IAEA)とは、原子力の平和的な使用を促進するための国際連合の傘下の組織で、本部はオーストリアのウィーンにあります。そもそも原子力が利用されだしたのは、1942年にアメリカで核分裂の連鎖反応を制御することに成功したことが始まりです。その3年後にあたる1945年、アメリカは原子力を核爆弾として利用し、広島と長崎で二つの原子爆弾を投下し、とてつもない人数の死者や負傷者を生みました。第二次世界大戦終戦後、アメリカ以外の国も核兵器の開発をするようになり、アメリカは水素爆弾の開発を行い、1952年には爆発実験に成功しました。そして1954年にビキニ環礁沖で起きた第五福竜丸事件では、日本の漁船が再び被爆することとなりました。核兵器を保有しているということは敵国に対しても大きな脅威となるため、戦争の時の武器として有力なだけではなく、未然に戦争を防ぐための抑止力になっている部分もありました。しかし、核兵器や核実験で被爆した例はとても悲惨なもので、多くの人が命を落としています。こうした悲劇を繰り返さないために、平和的利用を目的としたIAEAが誕生したのです。
IAEAの仕事の例として、平和利用のための技術開発の奨励や援助、安全基準の策定などがあります。また、原子力発電所などで事故が起きたときにはそれに対応するというのも業務の一つです。1986年に発生した史上最悪の原発事故といわれるチェルノブイリ原子力発電所事故の際には、原因や影響を調査するための会議を開くなどのことをしています。1999年の茨城県東海村の臨界事故の時には専門家を派遣して問題解決の支援をしています。世界中の多くの国が加盟していますが、北朝鮮に関しては加盟していたものの脱退してしまっています。原子力の平和的利用を目的とした活動が認められたということから、2005年にはノーベル平和賞も受賞しており、世界的にも活動の目的は理解され、評価されています。2015年3月現在IAEAの事務総長を務めているのは日本人の天野之弥氏です。
原子力によって人の命が奪われることは繰り返されてはならないことである一方で、原子力には便利に役立つ使い方ができる可能性も秘めています。安全かつ平和的に原子力が利用されるべくIAEAは活動を続けています。