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1992年に閣議決定されたODA大綱はその後2003年に改定され、2015年2月に2度目の改定を終えて、新たに開発協力大綱として閣議決定 されました。新たな開発協力大綱のポイントとして、日本の開発協力の理念を明確化した点、ポスト2015開発アジェンダに向けて新しい時代の開発協力を意 識した展、触媒としての開発協力を重視した点、多用な主体の開発への参画を重視した点が挙げられています。基本方針としては、非軍事的協力による平和と繁 栄への貢献、人間の安全保障の推進、自助努力支援と日本の経験と知見を踏まえた対話・協働による自律的発展に向けた協力が挙げられています。
1990年代以前のODAの問題点は、タイド援助といわれ、道路や橋など建築物などのインフラ整備における、ODA事業において資金調達や服務などの工事事業をすべて日本企業に限定して行っていました。援助する側の日本企業の利益追求で事業が推進され、援助される国はただインフラが整備されるのみで、これに伴う被援助国や地元住民のの利益や健全な経済発展への貢献が少ないなどの批判が日本国内外からありました。また例えば中国における日本のODA援助は、これだけ多数のインフラ整備により造られた建造物があるにもかかわらず、中国国民には知らされず、逆に反日教育がおこなわれることで中国国民の日本への憎悪が高まるという結果になってしまったところもあります。
この様な現象もあり、ODAにおける援助の方法を改めることや、ODA予算を削減し日本国内で使ってほしいという声も大いに高まっていました。実際にODAの見直し、改善が行われてきました。一つはタイド援助の見直しでインフラ整備などにおける開発援助で資材の調達先や、工事事業の調達先を特定せず、日本企業の利益追求ばかりに見られがちであった事業の運営を極力被援助国や地元住民の利益や健全な発展につながるようなアンタイド援助への切り替えをおこなっています。2015年3月現在は90%がアンタイド援助で日本の企業の受注も30%以下に減少しています。必要なインフラ整備を自国の手で行い経済の発展につなげるという本当の意味の貢献に近づくことができると考えられます。またODAにおいて日本の安全保障や日本国内の経済発展につなげ、国益確保に貢献できる援助をおこなうことも、最新のODA大綱に掲げられ改善されています。
日本のODAは、かつては、ただ国外へのお金のバラマキのような悪いイメージとその意義が分かりずらい部分がありました。しかし戦後の賠償から始まったこの制度は国際貢献として意義のあることで、たとえば東日本大震災における支援は先進国ばかりではなく、開発途上国も含め、世界中からあり、いままでの日本のODAの効果が大きいといわれています。