※一部一致でも検索されます。
※レポート・論文・WEBサイトなどでのご利用の際は参照元として記載・リンクをお願いいたします。
この条約は、大量殺害およびテロリズムなどに通常兵器が用いられる危険性を排除するために定められています。通常兵器が闇市場に流出したり、非人道的に使用されるのを阻止することが目的で、戦車や戦闘機、軍艦をはじめとする大型の兵器と、銃のような小型の兵器に関する輸出入などについて規制がされています。
1990年代の後半、元コスタリカ大統領のオスカル・アリアス・サンチェスをはじめ、ノーベル賞受賞者やNGO、専門家らが提起したことによってATT構想は広がりを見せます。2003年以降は研究者などが国際的に「コントロール・アームズ」のキャンペーンを繰り広げ、2006年には国連の総会で117ヶ国を共同提案国とする決議案が提示されました。決議案は圧倒的多数の支持を受けて採択され、このことによって国連における議論が開始されることになりました。ただしこの時、アメリカが反対を表明した他、棄権を表明した国が24ヶ国ありました。
それ以降、2009年には国連総会の決議によって、2012年7月に国連会議において条約が作成されることを目標とする交渉が本格的にスタートしました。この際に主導的な役目を担っていたのは、メキシコやノルウェー、オーストラリアやアルゼンチン、トリニダード・トバゴなどのATT推進国でした。また、2009年に行われた国連総会決議の場においては、アメリカも賛成を表明しました。
世界においては数々の法律や各種の規制が存在しますが、それと同時に規制の間に抜け穴があることも事実です。そういった状況の中で、共通基準や規則を設けて、それに基づいてそれぞれの国が武器に関する管理制度について根本から見直しを行い、相互間で連携して武器の取引を厳重に規制していくための武器取引の条約が必要不可欠となります。ATTのような武器取引に関する条約が必須となる背景には、年間に約50万人という尊い生命が銃や武器により奪われているという現実があります。しかも、戦場においてだけでなく、政府からの弾圧によるもの、犯罪集団に関連するものなども多数存在します。野放図な武器流入を許すことは、争いを激化させることになり、結果的に食料や水、医療などが不足し、さらなる問題を引き起こす要因になります。こうした悲劇をなくしていくためにも武器取引に関する条約の役割が期待されます。ただし、条約に批准するかどうかは各国の政治的な意志によるため、世界中における市民の意識の向上も重要であると言えます。