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国際協力用語集ワード詳細

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人口ボーナス
demographic bonus

一国の人口構成比率において、労働力の増加率が人口増加率よりも高くなることです。

人口ボーナスとは、一国の人口構成比率において、労働力の増加率が人口増加率よりも高くなることで、その国での経済成長の大きな要因となり、経済成長を後押しすることを意味します。

典型的なケースとして日本の1960年代の高度経済成長期から1980年代の安定成長期終了時までに見られた特徴です。労働人口、つまり働くことのできる世代、年代を生産年齢人口の比率が増加することで、経済成長の土台となり、消費も活発化することで成長を促すとされる状況となります。また、教育、医療、年金といった社会福祉の負担率が低減されている状況下で、税収が増加することで財政的な余裕も出るので、社会インフラの整備をはじめとした公共事業の活性化も期待できます。つまり、生産と消費、投資という経済サイクルの基本が順調に回っている状況と言い換えることもできます。

人口ボーナス期にはこうした経済成長から国際競争力も強化されていきます。近年ではBRICSの一部の国をはじめ、ベトナム、カンボジア、ミャンマーなどにこの人口ボーナス期の特徴を見出すことができます。今後の経済成長が見込まれ、投資の対象として優位に立ちますので、そこでまた成長が促されるという好循環になっていくのです。

しかし、この成長期の特徴として労働集約型産業に一定の重点が置かれることにより、その後の安定期以降の方針を見出すことができないまま産業構造や社会福祉、財政政策において、長期的な問題や課題を残す可能性も否めません。産業構造の転換は一朝一夕には行かないことから、国の政策として取り組まない限り、手遅れになる可能性もあります。人口ボーナス期に構築された賃金体系が上昇し、コスト高へとなってしまい、都市部への人口移動により地域間格差が生じる、などマイナスに作用する場合があることも考慮するべき点でしょう。

対義語として使われるのが人口オーナス期という言葉で、人口構成が高齢化により労働力の比率が偏ってしまう現象を意味します。人口構成として若年層が高齢層を支えているので、ある種の重荷になってしまうことがこの言葉の由来です。先進国では、この人口オーナス期に差し掛かる、あるいは既に入っている国が多くあります。日本は完全にこの状況下にあります。人口ボーナス期を経た後の20~30年後には経済構造の転換という課題が残されることも認識しておくべき点です。

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