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デング熱とはデングウイルスを原因とする感染症のことで、毎年5000万人~1億人ほどが感染し、およそ1万人~3万人の患者が亡くなっているとされています。蚊による媒介によって感染し、主に東南アジアやアフリカなどを中心に猛威を奮っていましたが、近年になって人の移動が活発化したことにより陸続きの土地だけでなく、飛行機や船によって運ばれてきた蚊により地域外にもその驚異が広がりつつあります。その症状は発熱、頭痛、関節痛、発疹などがあり、大きく発熱期・重症期・回復期に分けられます。発熱期には40℃前後の高熱が2日~1週間ほど続き、さらにそれに伴う頭痛・関節痛に襲われます。この時点で半分ほどの確率で発疹が出る場合があり、また毛細血管の異常により引き起こされる点状出血や口・鼻の粘膜からの出血などが認められる場合もあります。重症化する場合は熱が下がったあとで、腹腔や胸腔に水分が溜まることで血液量が不足したり循環性ショックを引き起こすことがあります。主に消化器官での大量出血が起こることもあります。その後回復期での回復は目覚しいのですが、激しいかゆみが発生したり、水分過負荷による脳浮腫やてんかんを引き起こすことがあり、回復後も疲労感が数日~数週間続きます。
以上のような重篤な症状を引き起こすデングウイルスですが、その媒介は蚊、特に日本ではヒトスジシマカの吸血によるものということもあり一度流行が始まってしまうと予防が非常に困難です。さらにデング熱にはワクチンが無いということも予防を難しくする原因のひとつです。現在最も有効なデング熱の予防法は、媒介する蚊の数を減少させることであり、そのために溜まり水の除去や水の入った容器を空にするなど繁殖をなるべく防ぐことが大切です。
アジア・アフリカなどで度々の流行は見せていたものの、世界的な広がりを見せたのは第二次世界大戦のころです。不衛生な環境の常態化や、戦闘時の大規模移動などによりウイルスを持った蚊が拡散されてしまったことが原因であり、また近年になって都市化や地球温暖化などにより蚊の活動地域が広がったことによる感染拡大も懸念されています。