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最終的にはエイズを引き起こします。1983年に、パスツール研究所のモンタニエとバレシヌシらによってエイズ患者から発見されました。その後もエイズ患者から同様のウイルスが発見され、HIVと名づけられました。HIVの起源は、サルなどの霊長類に感染する「サル免疫不全ウイルス」が突然変異を起こし、ヒトへの感染力を得たものとする説が有力です。
HIVに感染すると発熱やリンパ節の腫れ、下痢などのさまざまな症状がみられ、それが2週間から4週間程度で治まります。急性感染期といわれますが、これらはHIV特有の症状ではないため、症状のみでHIV感染を判断するのは難しいといわれています。そこから治療を受けずに無症状の期間を経ると体内の免疫細胞が減少し、エイズを発症します。発症までの期間は感染から5~10年後とされていますが、短期間で発症することもあります。発祥すると倦怠感や発熱、下痢、急激な体重の減少など、風邪とよく似た症状がみられ、さまざまな病気にかかりやすくなります。
また、HIVに感染すると、ウイルスは血液、精液、膣分泌液、母乳などに多く分泌されます。そうした体液が傷口や粘膜を通じて体内に入ることで感染するため、感染経路としては、コンドームなどを使用しない性交によってウイルスが体液から体内に侵入する「性交感染」、輸血や注射器・注射針などの回し打ちなどから感染する「血液感染」、そして感染した母親から胎内で、あるいは母乳による育児を通じて子どもに感染する「母子感染」が挙げられます。HIVは空気中や水中に出ると感染力をなくすので、空気感染や、感染者と洗面所や手すりなどを共有することによる感染はありません。
近年発達してきた医療技術でも、HIVを完全に排除することはできませんが、ウイルスの増加を抑えることでエイズの発症を抑えることができます。そのため、感染の予防と早期発見が重要視されており、日本では医療器具を使い捨てにすることで血液感染を防いだり、感染者が出産する際には帝王切開を選択したり、母乳ではなく人工乳で哺育するなどの手段を講じて母子感染を予防しています。また、ドラッグなどで個人的に注射器を使いまわしたり、感染の危険性の高い性交を防ぐために正しい知識を流布するための取り組みも行われています。正しい知識を身につけることで、感染の予防だけでなく早期発見のための検査などを促すことも期待されます。