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妊産婦死亡率(MMR)は、出産数または出生数10万人に対する年間の妊産婦死亡数で表されます。
国連のデータによると、妊産婦死亡率が1990年から45%減少したそうです。死亡率の高かった11ヶ国(ブータン、カンボジア、カーボヴェルデ、赤道ギニア、エリトリア、ラオス、モルディブ、ネパール、ルーマニア、ルワンダ、東ティモール)は2015年までに1990年の死亡率の75%を削減するという「国連ミレニアム開発目標(MDG)」を既に達成しています。しかし、そんな着実な進歩をしている国の一方で、多くの低、中所得国はこの目標を達成できない見通しです。
2007年頃、世界全体のMMRはやや減少していました。しかし、根本的な解決は何もできていませんでした。なぜなら、この減少はもともと死亡率の低い国の減少によるものであるからです。では、MMRが高いのはどのような国なのでしょうか。WHOが公式発表しているデータによると、世界で妊娠、出産により死亡する女性は毎年50万人以上おり、そのうちの90%以上が発展途上国で起きていたそうです。また、世界全体の妊産婦死亡率の約60%を最も高い10ヶ国(インド、ナイジェリア、コンゴ民主共和国、エチオピア、インドネシア、パキスタン、タンザニア連合共和国、ケニア、中国、ウガンダ)が占めていました。
妊産婦死亡の主な原因は産後の弛緩出血、妊娠中毒症生状態の悪い中での出産取り扱いによる産褥感染、妊娠中毒の合併症などです。その原因となる早婚、若年妊娠、多産、妊娠中の母体保護が不十分であること、伝統的な産婆や家族の介助による出産、医療体制の遅れ、医療機関、医療関係者の不足、緊急時の搬送手段の不足や異常時の対応の遅れなどは、発展途上国などの国で多く見られます。
過去20年間、人類は科学技術や医療の発達など、様々な進歩をしてきました。しかし、性交渉や妊娠、出産、妊産婦の死亡などに関しては大きな進歩があまり見られません。また、低、中所得国の若者に対する性教育やサービスの利便性、品質などには高所得との大きな差が生じています。世界中の色々な人々の命を助けるためには、そのような差を少しずつでもうめていくこと、また死亡する女性の数とその死因についての記録を正確にとることが大切ですそして、一人一人が妊産婦死亡などの事実を知り、性に対する意識を変えていくことが不可欠なのです。