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この概念は、ロシアの名門貴族に生まれ、アナーキストであり地理学者のクロポトキンにより提唱されました。クロポトキンはこの相互扶助を社会学、倫理学、生物学を貫く原理とし、苛烈な生存競争のみを重視するダーウィンの進化論を批判しつつ、生物界には生き抜くための苛烈な生存競争以上に、相互扶助の原理が働いていることを立証しようとしました。
産業革命以前は、資本主義社会が発展する以前の封建制社会でした。封建制社会では、血縁や近隣の人で成る集団と共同体が社会の基礎であり、これらの集合体が助け合いの基本、相互扶助の基礎でした。
これらの共同体による産業は基本的に自然を直接活用した農業などの一次産業であり、主に自給自足していたので閉鎖的なコミュニティで生活が成り立っていました。つまり、農村などの小規模の人間集団が社会の基本でした。こういった社会では、コミュニティに所属していることが基本であり、人が一個人として独立した生活を送ることがほとんど無かった時代でもあります。小さな農村を基本とした村落での共同体には、それぞれのルールや規制があり、相互扶助的な自給自足の生活が行われていました。その他、欧州ではギルドと呼ばれる商工業を生業とする人々の相互扶助の共同体がありました。
産業革命以後、資本主義社会が到来すると、資本や商品を中心とした経済がメインとなり、ギルドを中心とした共同体は消滅し、過去のものとなりました。資本主義社会では、産業革命以前の相互扶助は、より祖翁システムの中で担保される福祉に置き換えられました。つまり、国家が社会保障と福祉という名のものとで、社会的弱者を含ん全ての国民に対して相互扶助を行っています。