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ゼロエミッションとは、産業活動や消費活動などによって排出された廃棄物について、別の産業で資源に活用することを通して、全体的に廃棄物をゼロにしていくことを目指す構想を指します。この構想の正式な呼称は「ゼロエミッション研究構想」で、国連大学によって1994年に提唱されました。ゼロエミッションは、リサイクルを行って資源を有効活用するだけに留まらず、廃棄物の処理や発電を行う上で生じる温室効果ガスを削減することにも役立つ考え方と言われています。
文明が栄える前の地球の状態は、まさにゼロエミッションそのものの状態でした。ゼロという言葉には、人類が自然界を今以上に破壊することのないようにという強固な意志が込められています。しかし、地球規模で自然の破壊が顕著になっている状態からも、この構想を推進するための行動は急を要するものになっています。一部では、ゼロエミッションでは足りず、マイナスエミッションを掲げなければ現状を打開できないというケースも存在しています。ゼロエミッションを現実のものにしていくためには、各種産業が連携することが重要です。すなわち、産業間で不要物や副産物の有効活用を行っていくことで資源の循環を実現し、さらに二酸化炭素も出さないような技術を確立させていくことが必要不可欠になります。それを叶えるために、環境汚染の心配のない生産工程を利用することをはじめ、単なる排出削減だけに限らず、消費段階や廃棄段階で生じる影響を考慮して原材料なども再検討することが大切です。しかし、経済活動を続けていく過程においてエネルギーが必須の要素であり、化石燃料に依存している現状では、二酸化炭素排出は避けることができないという厳しい実情があります。その意味で、ゼロエミッションを実現していくのは険しい道のりであると言えます。
企業の一部には、廃棄物の削減やリサイクル、埋め立て処分を行わなければならない廃棄物を出さないということをゼロエミッションとして掲げているところもあります。しかし、本来この構想は地球規模の問題であるため、一部の企業や一部の工場での取り組みだけで達成することが可能なものではありません。世界の問題としてゼロエミッションに取り組んでいくためにも、地球全体としての対策が急がれます。