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アラブの春
Arab Spring

2010年の終わりから2012年の終わりにかけてアラブとアフリカの国々で起こった民主化要求デモとその後の混乱のことです。

アラブの春とは、2010年の終わりから2012年の終わりにかけてアラブとアフリカの国々で起こった民主化要求デモとその後の混乱の事を指します。長らく独裁体制が続いていたこれらの国々では、抗議デモをきっかけとして一向に是正されない貧富の格差などに対する怒りが連鎖的に爆発し、体制崩壊や内戦へと発展しました。
この運動は、2010年12月にチュニジア国内で起こった青年の焼身自殺事件を発端にして始まりました。この焼身自殺事件はSNSを通してチュニジア国民の間に瞬く間に拡散し、これをきっかけとして若者を中心に高い失業率などに対する怒りが一気に爆発して、全国規模のデモとストライキへ発展しました。2011年の1月13日には軍部が離反し、その翌日の14日に23年間の長期政権を維持してきたベン=アリー大統領がサウジアラビアに亡命したことで事実上の革命が達成されました。これが俗に言う「ジャスミン革命」の経緯です。
そして、このジャスミン革命の余波はすぐにチュニジアと同じように独裁体制を敷くアラブとアフリカの国々にも拡大しました。その中でもその影響が最も顕著に表れたのがアラブ世界の盟主エジプトで、2011年の1月25日に首都のカイロなどで1万5千人規模のデモが発生し、そして、それから半月も経たない2月11日には大統領権限を含む全ての権限がエジプト軍最高評議会へと委譲され、30年近く君臨してきたムバラク政権は崩壊しました。またエジプト以外にリビア、イエメン、シリア、バーレーンなどにも騒乱や内戦をもたらしました。
アラブの春はエジプトの自由選挙による元首選出や、モロッコの国王権限の縮小と議会権限の拡大などを実現させるなどポジティブな効果を発揮した一方で、シリアに内戦をもたらし、またISILという凶暴テロ集団を拡大させるチャンスを与えました。アラブの春の熱狂がある程度落ち着いた2012年以降はその副作用が序々に表れ始め、エジプトとチュニジアの経済に観光業を中心に停滞をもたらし、囚人が刑務所から脱獄するなど治安も悪化した為、運動に参加した人々が当初、アラブの春に抱いていた希望は時間を経るごとに薄れていきました。その後の状況については、2013年の7月にエジプトで軍事クーデターが起き、リビアでは政権転覆後の混乱が続いている他、泥沼の内戦に突入したシリアについてもISILの活動などで周辺国に負の影響を与えています。このように2010年に始まったアラブの春はアラブの人々に大きな希望をもたらすと同時にたくさんの混乱をもたらしました。

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