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難民条約とは、難民の規定や国内で定められている自国民の保護や権利を当該者にも適応するように記された条約のことで、正式には難民の地位に関する条約と言います。人道支援や帰化、保証についての規定が条約の主な内容となっています。
1920年初頭辺りからすでに難民の保護に関する国際的な条約や政策はされていました。しかし、難民として認定される基準の規定もなく保護の内容などにも範囲があり、有効性も曖昧で不安がありました。そこで1951年、難民の規定と難民の権利の保証、難民問題を解決するために国際協力をする旨の記載された国際条約を制定しました。これを、難民の地位に関する条約といい、難民条約と略称されます。1954年からこの効力が発生されました。日本では1981年に国会で加入の承認を受け、1982年より難民条約を発効しました。前文、本文46箇条、付嘱書、付録で構成されています。全7章で構成された本文は、1章に一般規定、2章に法的地位、3章に有給の職業、4章に福祉、5章に行政上の措置、6章に実施規定及び経過規定、7章に最終条項が記載されています。内容としては、難民を庇護する旨と、その国で安心して定住できるよう、法的な地位の確立、就職、福祉についてを詳細に記しています。しかし難民条約には、1951年1月1日以前の難民のみ適用されるという期間の条件がつけられていました。そのため時間的な条約から外れた難民の庇護は行われない事態となりました。その時間的な制限を取り除いて対象となる難民の範囲を広げるため、1966年に条約を補填するための内容が記された難民の地位に関する協議書が制定され、翌年より発効されました。
中でも重要とされている条文が2つあり、1つ目は生命や自由が第1条に記載されている難民の規定に該当する理由で脅威にさらされている地域、又はその恐れのある地域から逃れてきた者に対して、滞在の不法性に対する刑罰を与えてはいけないとする第31条です。これは、難民に対して日本では不法滞在の罪を問うてはいけないと定められている、という意味です。2つ目は、第1条に記載されている理由で生命や自由が脅かされる地域に何人たりとも追放してはならないと定めた33条です。これは、難民を迫害する地域に強制的に送り返してはならないという、ノン・ルフールマンの原則を定めた規定になります。
日本では加入をきっかけに、それまで定めていた出入国管理令の内容を修正し、新たな出入国管理及び難民認定法を制定しました。