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経済制裁とは、国際的な取り決めなどに反した国に対する措置の一つで、対象国と貿易をしないことで経済的ダメージを与え、問題を正そうとする手段です。経済制裁が行われる場合の例としては、不当に他国に侵攻していって戦争を起こした場合や、国際法に反することを行った場合があります。
経済制裁を加えることによる効果は様々ですが、まず一つとしては貿易ができないために自国の中で食料などを生産しなければならないため、輸入に頼っている国などでは特に大きなダメージを受ける点です。全く貿易をせずに経済を動かし続けることは難しい場合も多く、効果が期待できます。また戦争を起こそうとしている国に対して経済制裁を行うと、戦争に必要な物資を輸入できなくなるということになります。つまり、戦車や戦闘機の燃料となるガソリンなどの石油、銃や戦車の機体の材料である鉄などの金属を輸入できなくなるということになります。これらを自給できていない国の場合、戦争を続行することができないので、武力を用いることなく戦争を防止するという効果もあります。
国際連合においては、国連軍を発動し武力制裁を行うという手段もありますが、その手前の段階の制裁方法として経済制裁を行うケースがあります。また経済制裁という方法は、国際連合の前身である国際連盟時代からあり、イタリアや大日本帝国などを対象に行われた過去があります。現在の国際連盟でも、経済制裁を行った例はいくつもあります。さらに地域的国際機構や単独の国家が行うケースもあり、目的に応じて行なわれています。
しかし、制裁としての効果がきちんと発揮されないケースも存在します。例えば多くの国と貿易しているような国の場合、経済制裁に加わっていない国との間の貿易だけで経済を賄ってしまうことができてしまうことがあります。このような場合、経済的なダメージはあまり大きいものではないので効果が薄くなります。また、制裁に加わっていない第三国から見れば今まであまり貿易できていなかった国と貿易をするチャンスにもなっています。制裁を受けている国の立場は決していいものではないため、悪い条件でも貿易をせざるを得ません。結果的には制裁に加わっていない第三国が大きな利益を得ることとなり、参加しない方がよいという風になってしまうこともあります。経済制裁は武力を用いない制裁方法なので、人の命を失うことがなく平和的な方法といえますが、効果が期待できる場合も期待できない場合もあります。