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GNIとは、各国の国民(個人、企業など)が1年間などの一定期間に新たに受け取った所得の総額を示すもので、2000年に導入されました。一般に国内総生産(GDP)に海外からの所得を加えたものとして表されます。
従来はGNPと呼ばれる「国民総生産」を用いてGNIと類似のものを表現していましたが、生産という概念よりも所得としての概念で捕らえることが適切であると考えられたため「国民総所得」が使われるようになりました。似たような経済指標として先のGDP「国内総生産」がありますが、これは国内での生産における付加価値を表す指標となっており、所得とはまた概念が異なります。
グローバル化が進み、国外で働く人が増加する中で国内総生産と国民総所得の乖離が大きくなってきたため、2000年代に入ると特に国民総所得について注目度が上がってきました。一般的に国の豊かさを表す指標としGDPが用いられていましたが、日本国内にいる国民を対象にしているため、国外で日本国民が得ている所得などは考慮されておらず、乖離が起きており、国の豊かさを表すという点において適切ではなくなってきました。
自民党政権が再び政権を勝ち取った2012年以降、安倍政権において提唱されている政策の「アベノミクス」という経済政策がありますが、この中で国民総所得に触れられていることも、世界各国からも注目されている理由になります。具体的には「1人あたりの国民総所得を10年間で150万円の増加」という目標です。実質的な購買力としての値である実質国民総所得や一人当たりの名目国民総所得が中長期的に150万円の増加が期待されるといわれています。ここで、注意しなければならないのは、GNIによってわれわれの家庭経済における所得を示す指標ではないため、例えばわれわれの給料が10年後には今よりも150万円も増えるということと同視できないことです。これは、いわゆるGNIの算出にあたって考慮されている割合が、企業の所得の方が大きいことにあります。もちろん企業から支払われる給料も含まれるため相対的にはGNIの増加に伴い個人の給与も増加しますが、個人に対する増加の割合はより緩やかなものであるといえます。