※一部一致でも検索されます。
※レポート・論文・WEBサイトなどでのご利用の際は参照元として記載・リンクをお願いいたします。
アジア圏では韓国や台湾、香港およびシンガポール、中南米地域ではメキシコやブラジル、欧州ではポルトガルやギリシャの他に、スペインやユーゴスラビアなどが含まれます。当初は、発展途上国において経済的に発展した諸国が幅広く含まれていましたが、徐々にアジアの韓国と香港、台湾およびシンガポールのことを指すようになっていきました。これらは「アジア4小竜」と称され、世界経済に対して強力な地位を構築しました。当時はNICS(Newly Industrializing Countries)という名で呼ばれていましたが、香港や台湾に対して独立の国家とすることに難色を示す見方があったことから、それに配慮する形で、1988年に開催されたトロント先進国首脳会議(サミット)でNIES(Newly Industrializing Economies)という名称が用いられるようになりました。
NIESの諸地域は、1970年代においてアメリカや西欧、日本といった先進経済諸国の成長が停滞したことに対して、加工業および仲介貿易などの分野で利潤を上げることに成功したことにより、80年代には輸出の分野を中心として台頭してきました。また、韓国やこうした地域に次いで経済的成長を達成したインドネシア、フィリピンの例のように、民主的な政治に対して抑圧が行われる中で、開発を優先とする工業化が行われ、民衆の生活が省みられなかったという背景も存在します。
さらに、NIES諸国ではアメリカを対象とした輸出を主力にしているため、徐々に対米貿易黒字が増していったので、アメリカからは通貨切り下げを要求されたり、市場の開放が求められるようになりました。NIES諸国の好景気な状態は90年代も継続されましたが、1997年のタイにおける通貨バーツが暴落したことを機に生じたアジア通貨危機が波及すると、経済は急速に悪化していき、NIESという名称もそれほど用いられなくなりました。アジア通貨危機では、こうした地域での不十分な通貨管理が、欧米における通貨投資家から狙われたことによって、短い期間で資金を引き上げられてしまったためと言われています。NIESに代わる形で、経済的に成長が進んでいる国としてBRICsという名称が一般化され、ブラジルおよびロシア、インドや中国といった国を指す言葉として用いられています。