※一部一致でも検索されます。
※レポート・論文・WEBサイトなどでのご利用の際は参照元として記載・リンクをお願いいたします。
NAFTAは、アメリカ、カナダ、メキシコの3ヶ国の間で相互の市場を開放することを目的とした自由貿易協定のことです。この協定は、先進国と途上国の間で結ばれた最初の自由貿易協定として知られています。
成立当初は前例がなかったため、非常に画期的な協定とされましたが、関税など貿易を行う上で生じる障壁は撤廃されたとしても、協定国の間でどんな基準をどの程度決めていくかといった協議上の難しさと、実際に行動に移していく際の難しさが明らかになった協定とも言えます。1992年の12月17日に署名が行われ、1994年の1月1日に発効されたNAFTAは、アメリカとカナダの間における米加自由貿易協定を継ぐ意味合いも持っていました。NAFTAの主な協定内容は、アメリカ、カナダ、メキシコ間で全品目に関する関税を、原則的に協定が発効されてから15年という期間内に撤廃すること、金融市場や投資市場に関しても全面的に自由化を行うこと、そして製品における知的所有権に関する保護を行うことなども含まれていました。すなわち、関税を撤廃するだけでなく、貿易や金融、資本取引に関しても自由化が目指されていたことになります。さらに、環境問題に関連した補完協定が規定され、同様に補完協定によって労働者保護問題に関しても規定されることになりました。
NAFTAの成立後は、貿易の拡大が顕著になり、とりわけメキシコが発展するに伴ってアメリカとメキシコ間での貿易拡大は著しいものでした。カナダとしては、1989年に結ばれていた米加自由貿易協定での既得権益を確かなものにするというメリットが存在し、メキシコにとっては、直接投資や輸出の面で拡大を期待できるものとして歓迎されました。また、アメリカでは、当時日本が東南アジアを生産拠点の一つとして組み入れていた背景があり、日本が持つ経済力やEUへの対抗策としても、メキシコなど中南米の国との関係の強化を推進すべきという声が高まっていたという事情がありました。また、NAFTAは世界の経済に及ぼす影響も重要視されています。なぜなら、人口やGDPではEUと日本を上回る最も大きな自由貿易圏であること、アメリカ大陸の全体を含めた米州自由貿易圏に発展していく可能性を秘めていることなど、世界経済に対する面でも非常に重要な意味合いを持っているからです。