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南南問題とは、南北問題において「南」といわれる発展途上国の中に生じてきた、南北問題とは違う新たな格差の問題です。
まず以って南北問題というのは、先進国(アメリカ・EU・日本など)と発展途上国の間に大きな経済格差がある問題のことです。主に先進国が北側に、発展途上国が南側に位置することからこう呼ばれています。この経済格差は、開発途上国の多くが、欧米先進国の植民地支配の下で、特定の農産物や鉱産物の生産に依存する経済のしくみであるモノカルチャーを押し付けられ、先進工業国が必要とする原燃料を提供する地域として位置づけられてきた結果と言われています。また、発展途上国の中でも特に経済発展が遅れている国は後発開発途上国と呼ばれます。1人あたりのGNI(905度ル未満)など、国連が認定した基準に基づき、2011年ではアフリカ33カ国、アジア9カ国、そのほか6カ国が指定されていて、最近ではますます南北間の格差が広がっています。
石油危機以降、この「南」の国々の中で、アジアNIES(韓国・台湾・香港・シンガポール)などの工業が発達した中進国や、OPEC諸国などの石油資源の豊富な産油国のように、先進国に近い水準に到達した国々と、経済発展が遅れ、貧困から抜け出せない後発発展途上国との間に格差が広がっています。このように、発展途上国の間に生じてきた新たな経済格差の問題を南南問題というのです。「南」の国々は、1964年に国連貿易開発会議(UNCTAD)を設立して、1970年代に入ると新国際経済秩序(NIEO)を提唱して、それまでの国際分業体制を打ち破ろうと努力を重ねてきました。国連貿易開発会議では、1964年には国民所得1%の援助目標を設定したり、一次産品の貿易自由化促進をはかりました。1972年には政府開発援助(ODA)を70年代中ごろまでにGNP(国民総生産)の0.7%にまで引き上げる努力をすることになりました。1987年には、債務問題は後発発展途上国に限り返済期間の延長、金利の軽減を考慮するようになりました。1992年には、保護主義をやめるように先進国に呼びかけたり、地球環境問題を扱う国際機関として自らがなる用意のあることを宣言しました。