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正式名称はオゾン層の保護のためのウィーン条約です。
地球を取り巻くオゾン層と呼ばれる大気中の層は、人類や生物にとって悪影響を及ぼす紫外線を吸収してくれています。その一方で、人間が便利に生活していく上で使う物である冷蔵庫の冷媒や電化製品の洗浄などに使われるクロロフルオロカーボン、消化剤などに含まれる物質が成層圏にまで届くとオゾン層を破壊する物質へと変化します。そのため、オゾン層の破壊が進み地上に降り注ぐ紫外線量が増えることで人体への影響や自然環境に対する影響が1970年代より懸念され始めました。その後の国際会議を経て、1985年にオゾン層の保護を目的とする国際的な枠組みを定めたウィーン条約が採択され、1988年より発効となりました。この条約をもとに、人や環境の保護のためオゾン層にとって有害な物質の特定と指定、生産の規制、消費や輸出などの規制などを詳細に記したモントリオール議定書が1987年に採択されました。
ウィーン条約の概要としては大きく3つのカテゴリーに分けられます。1つ目は、締約国へオゾン層が変化、破壊されることによって人の健康や自然環境に及ぼす悪影響から保護するために適当な措置をとるということです。また、オゾン層の破壊を招くような人の活動を、各国の法などで規制することも定められています。2つ目は、関連分野の研究と組織的な観察を行うということです。3つ目は、オゾン層保護に関連する法律や技術、科学の国際間での情報交換に協力することを求めています。また、のちに採択されることとなる具体的な議定書の採択をすることもウィーン条約内で定められていました。条約内で作成する事が決められていた議定書は、モントリオールで採択されたことからモントリオール議定書と呼ばれています。議定書には、具体的なクロロフルオロカーボンの消費量と生産量の削減値が定められています。また、開発途上国に対しては技術レベルの遅れを考慮して規制基準の緩和策がとられています。その他にも、非締約国と締約国の規制物質の貿易を禁じると定めてはいますが、これについては差別的な貿易規制と見なされWTOとの調整がなされています。
日本は、1988年よりこの条約を締約し、締約国となりました。