『過剰包装とプラスチック問題について』
近年、ウミガメがプラスチックを食べてしまうなど、私たちが廃棄したプラスチックのせいで自然環境やそこに住む動物たちに多くの深刻な問題が生じている。例えば、プラスチックがこのまま増え続けると2100年までに平均気温が4.8℃上昇し、化石燃料が枯渇すると言われている。
では、このような問題が起きないために一人当たりのプラスチック消費量がアメリカに次いで世界2位である日本にできることは何か。
一つは包装、容器に使うプラスチックを減らすことだ。日本のプラスチックゴミの内訳は2017年時点でペットボトルを除いた包装、容器だけで39.5%を占めており、これについて最近、日本の過剰包装が原因だとしてよく取り上げられるようになった。確かに、大きな袋に入っているお菓子がさらに小さな袋で小分けにされていたり、さらにその小さな袋のための仕切りがあったりするなど、一つのお菓子でもそれを包装するために多くのプラスチックが使われている。しかし、プラスチックの消費量を減らすために各企業が紙ストローなどで策を練っている中、過剰包装がなかなか減らないのには理由がある。
一つ目は利便性である。友人、会社の同僚などに菓子などを配る際、個包装だと1人ずつに渡しやすく、その場で食べなくとも自分の好きなタイミングで食べられる。二つ目は清潔さだ。新型コロナウイルスが世界的に広がっている中、マスクの清潔性は重要視されている。また、個包装は異物の混入がしづらいとも言われており、より安全性が高い。三つ目は相手に気持ちを伝える、つまり見た目の綺麗さである。プレゼントなどを人に送る際、ラッピングなどしてプレゼントを包み相手に渡すことで、“特別感“を出すことができる。「なぜわざわざそんな面倒なことを、、、」と思う人もいるかもしれないが、多少手間がかかるからこそ「自分のためにわざわざしてくれた」という気持ちになるものである。
このように多くのメリットがあるからこそ過剰包装はなかなか減らない。しかし、冒頭でも述べたようにプラスチックの消費量、廃棄量が増えることで環境にどのような影響を与えるのかを考えると「たくさんのメリットがあるから」という人間本意な理由でこの問題から目を逸らすわけにはいかない。そのためにいくつかの企業では包装をプラスチックから紙に変える動きがある。ネスレ日本のキットカットは外袋をプラスチックから紙に変更し、年間450tのプラスチック削減を見込んでいる。
以上が日本のプラスチックに関する現状と対策についてである。しかし、これらは日本の企業が行なっている対策であり、日本人“一人一人“ではない。
私たち個人でもプラスチックを減らすためにできることは多くある。プラスチックゴミを分別しリサイクルできるようにしたり、プラスチック製品に限らずものを買うときはすぐに捨てないかよく考えてから買う。また、ラッピングの際もプラスチックでなくできるだけ紙を使うなど小さなことかもしれないが、こうしたちょっとした意識が積み重なればプラスチック消費量は削減できるのではないだろうか。プラスチック問題を国や企業に押し付けるのではなく、今一度自身の行動と将来地球がどうなるのかをよく考え、自分に何ができるのかと解決策を考え、実行し続けることが私たちが地球にできる最大限のことではないかと考える。