『差別について』
近年、人々の差別に対する意識が向上しているように思う。これの一つの要因として、SNSで誰もが簡単に情報を発信できるようになったことや時代的な意識が変わったからのように思う。差別をなくそうと反発し発言・行動するのは称賛されるべきことだが、時に過剰に反発してしまう場合がある。私は、これがさらなる差別、逆差別を生んでいるように思う。
記憶にも新しいと思われるが、2年ほど前にアメリカでBLMという運動がおこり、それが世界に広がった。これは端的に言えば黒人差別をなくそうというものであった。歴史的背景の中で生まれた差別が現在でも残っているのだ。しかし、この渦中で白人に対する差別的行為が生まれたのである。つまり、それまでの立場が逆転してしまったのである。これぞ逆差別といえるだろう。
また、日本でも浸透しつつあるLGBTに関してもこのような問題が起こった。ある同性愛者のカップルがウェディングケーキを注文しようとしたところ、ケーキ屋に断られそのことをカップルがSNSにアップしたことで波紋を呼んだ。一見、ケーキ屋が個人的に差別をしていたとみえるが、ケーキ屋には「宗教上の理由」という正当な理由があった。このとき、幸運にも差別的なことは起こらなかったが、BLMの場合と同様にLGBTに関しても差別を受けてきた負の歴史がある。差別というものに過剰に反応してしまった結果このようなことになってしまったのではないかと考える。
過去を変えることは不可能である。さらに世界には多くの人がいてその数の分の考え方が存在する。そのため、過去にあった負ともいえるような歴史を変えることもできなければ、差別的意識を完全になくすことはできない。差別をすることはいけないことだが、差別に関してアンテナを張りすぎてもいけないのである。多様性が重視される国際社会の中でわたしたちはお互いの考え方を認知・理解しうけいれていかなくてはならない。家族や学校などの小さな社会にとらわれずにより広い視野で生きていけるようにしたいと考える。