私は今回のオンラインボランティア研修を通じて、日本とカンボジアの学習環境の格差について改めて認識した一方、交通網が十分に整っておらず都市から遠く離れた地域でも教育を受けられるよう整備してくださっていたカンボジアの先生方に深く感銘をうけた。事前に聞いていた情報もあいまって、予定通りに授業を進められるかどうか心配な点も多々あったが、かえって私たちの授業の進行をサポートしてくださり、今は感謝してもしきれない思いである。しかし、アジアやアフリカの発展途上国に暮らす児童の中で、このように都市から離れた地域でも大人のサポートを受けて教育を受けられる児童は一体どれほどいるだろうか。フィリピンやバングラデシュなどの地域では近年、都市部と農村部における教育格差が社会問題にまで発展していると聞いた。そこで、カンボジア以外の一部の国での児童教育の地域格差の原因とそれを解決するために私たちが出来ることは何かを考察する。
原因の1つ目は、”児童=労働力”と考える大人や親が世界的に見るとまだ多いことである。例えば、コットン生産量世界一であるインドでは、約48万人もの児童が安い労働力として劣悪な環境下で働き、学校へ通うことが出来ずにいる。多くの人手が必要となるコットン栽培では、強い日差しのもとで休みなく働き、農薬の影響で皮膚や肺の病気になる児童も少なくない。それもひとえに、親やその地域の大人の教育の重要性や児童労働に関する認識が不足しているからであると考える。
原因の2つ目は、宗教的思想である。地域によっては、男尊女卑の考えからなる女性の学校教育の禁止や学ぶ機会を意図的に奪う政策など、宗教上の理由によって教育を受けられずにいる児童が多く存在する。2014年、マララ・ユスフザイさんが女子教育の大切さを説きノーベル平和賞を受賞したことをきっかけにこの問題は解決の方向に向かっているというが、特にイスラム教を国教とする国では一部このような思想が残り続けているところもまだあるのだ。
次に、これらの原因をできるだけ早くこの問題を解決の方向に導けるよう、今私たちが出来ることを提示する。
1つ目は、国外から教育の必要性を引き続き強く発信していくことである。教育格差を解決するには、大人への教育が不可欠である。なぜなら、今の親世代の教育への認識の違いが将来の親世代(今の児童)への認識の違いに繋がると思ったからだ。児童に直接呼びかけるのではなく、まずは周りから環境から変えていくことが大切であると考える。
2つ目は、インターネットを活用した人材の提供である。これは上の原因の1つ目に限った話だが、貧困や人手不足が原因でおこる児童労働や教育格差は、他国から人材を提供することで解決できると考える。今回の研修のようにある程度の期間を設け、定期的にボランティアという形でインターネット上での応募を集めることができれば無賃で、なおかつ農村部の現状を他国の人々に直接知ってもらうことができる。
このように、世界の教育問題における地域格差を解決するのは簡単なことではない。しかし、これを解決するために私たちに何ができるのかを考え、発信することが未来での解決に繋がるのではないだろうか。まず私は、このオンライン研修を通して調べ、学んだことを周りの友人や学校の活動を通して伝え、1人でも多くの人にこの問題に触れてもらうことにより、現在世界で発信されている学校教育の課題について知ってもらいたいと思う。当事者でないからこそ、1人1人の行動が問題の側面からの決着に繋がっていくのだ。