『食品ロスと日本の食文化』
私たちの毎日の生活で「食」というものは欠かせないものになっている。その一方で排出される食品ロスは多くなっている。その背景として1つのことが考えられる。私たち日本人は多くのことや物に高い品質を求めている中で、無意識に「食」にも高い品質を求めている。これは、生食を好んで来た日本の歴史に関係するといわれることもあるが、これらにより食品廃棄物を増加させてしまったというものだ。確かに、食品の質を求めることも大事だが、品質を求めすぎるあまりに食品ロスを排出し、環境に悪影響を与えることは今後の日本や世界の環境を考えたときにやめるべきことだと思う。食品ロスとは、本来食べられるのに捨ててしまうことをいう。日本国内の食品ロスは年間で646万tである。これは日本人1人当たりが毎日お茶碗1杯分のご飯を捨てていることと同じである。この日本の食品ロスの量は、日本が世界中へ行っている途上国へ向けた食糧援助の量の約2倍であるといわれている。また、日本の食料自給率は37%であり大半を輸入に頼っている現状である。その中でこれだけの食品ロスが出るという問題は食材を無駄にしているだけでなく、海外からの輸送費(燃料)や食材を育てるために使用した水や肥料なども無駄にしているのだ。さらに、多くの問題がある。例えば、賞味期限切れなどで食べられなくなった食品を処分するためには燃やす必要があり、燃やすことで多くのCO2(二酸化炭素)が排出される。また、これらを埋めるのであれば土壌や水質への悪影響も懸念される。このように、食品ロス1つで多くの問題へと繋がるのだ。では、食品ロスをなくすために私たちはどのように取り組むべきなのか。実は、食品ロスの問題は事業者側の問題と考える者も多いが、実は個人(家庭)からの排出量も多いのだ。食品ロスは、大きく2つに分けることができ、1つが事業活動を伴って発生する食品ロス「事業系食品ロス」、もう1つが各家庭から発生する食品ロス「家庭系食品ロス」である。事業系食品ロスは328万t、家庭系食品ロスは284万tと約45%が家庭から排出されている。私たちは無意識のうちに食品ロスを生み出しているのだ。これを解決するためには企業側の取り組みと私たち1人1人の意識改革が必要であると考える。日本において企業側(生産者側)の取り組みとして暗黙の商習慣であった「3分の1ルール」の見直しがなされている。3分の1から2分の1へ延長することで、全国で87億円相当のロスをなくすことが可能であるといわれている。現在は、コンビニ各社や加工食品などで2分の1を適用する商品を拡大している。他方で、私たち(消費者側)の取り組みとしては保存の仕方や調理方法を変えて廃棄を減らすことは可能であるが、全国的な新たな取り組みとして「サルベージパーティー」と呼ばれる取り組みがなされている。サルベージパーティーとは、できるだけ楽しく肯定感をもってフードロスについて知り、自分にできることを発見できる食材パーティーのことだ。この取り組みの主な特徴として、プロや他人の頭の中をのぞくことが出来る点、家でフードロスが生まれる理由を発見できる点がある。無駄をなくそうとしても1人で考えて取り組めることには限界があるが、このようなパーティーで他の人と意見を交換することで食品ロスについてより深く考えることができる。すぐに、食品ロスを減らすことは困難かもしれないが、私たち1人1人が意識して減らすことは可能である。今後、私たちが自然と共存して生きていくために環境を守ることは大切であるため、私たちは今、食品ロスについて真剣に向き合うべきである。