『不漁問題〜サンマを私たちから奪うのは何か〜』
「半径5メートルから考えるSDGs」というテーマから考えた私の身の回りの困ったことは、「サンマの値段が年々高くなり、身が細くなっている」ということだ。毎年サンマの塩焼きを食べることをとても楽しみにしている私にとっては、身の細いサンマがどこのスーパーでも高い値段で売られている昨今の状況は一刻も改善したい問題の一つである。では、どうしてこんなにもサンマ市場の状況は悪くなる一方なのだろうか。
調べて見て分かったサンマに関する問題は、大きく分けて三つある。一つは、やはり値段の高騰だ。水産庁による資料を見てみると、サンマ一尾あたりの値段が2009年には69円だったのに対し、2019年には480円にまで上昇している。このまま値段の上昇が続けば、サンマが高級魚と化してしまう日も遠くは無いだろう。
二つ目に挙げられるのが、体重と個体数の減少だ。同じく水産庁によると、一尾あたりの体重ごとの個体数は年々変化し、2018年から2020年にかけては平均して20グラムも体重が減っていることがわかった。また、地球温暖化による海水温の上昇でサンマの産卵場が沖合側に移動したことで、日本から獲れるサンマの個体数が瞬く間に減ってしまっているのが現状だ。
そして三つ目の問題が、日本と近海の国々の漁獲量がうまく制限できていないことだ。かつてサンマの漁獲量のほとんどは日本が占めていたが、1990年代から台湾などの国がサンマを獲り始めるようになり、2019年には台湾と中国が日本のサンマ漁獲量を上回った。資源量の減少が懸念されるため、日本としては国ごとの漁獲量の規制を設定したいところだが、各国の賛同は仰げていない。
これらの問題を解決するためにできることとして考えられるのが、サンマの養殖や漁獲規制の設定などであるが、ただの高校生である私が複雑な状況の絡む外交問題に関わることは難しい。そこで、私が今日この日から始められる身近な取り組みとして焦点を当てたのが、MSCマークのついた商品を買うことである。MSCマークとは、持続可能な漁業を可能にするための認証をされた商品につけられるマークのことだ。このマークのつけられた商品の例として、マクドナルド社のフィレオフィッシュなどがある。資源の持続可能性、生態系への影響、漁業の管理システムなどの項目について厳格な審査を通して認証が行われるため、環境に配慮した漁業を行なっている企業を私たちの手で確実に支援することができるのである。普段から意識して商品を買うことで、サンマだけでなくさまざまな魚の不漁が問題となる漁業の未来は変わっていくのでは無いだろうか。また、SDGs14番目の目標である、「海の豊かさを守ろう」の達成もこの先に大きく繋がると私は考える。