『広げる行動 広がる未来』
今の時代、様々な人がSDGsについて意識を持って暮らしているだろう。その中でもどこでも身近にある物がとても問題になっている。それはプラスチック問題だ。プラスチックは色々な物に使われている。その中でも、ペットボトルは日々生活する中で見ない人はいないだろう。本稿では、ペットボトルを通してプラスチック問題を解決するために私達にできることを考察する。
まず、日本と世界でどれだけのペットボトルが使用されているのかご存じだろうか。日本では年間232億本消費され、1分間に4万4千本消費されている。また、世界では年間4,800億本消費され、1分間に100万本消費されている。
では、消費されたペットボトルはどのように再利用されているのだろうか。主な手法は3つあり、①廃プラスチックを溶かして再びプラスチックの原料にした後、新たな製品に加工するマテリアルリサイクル、②廃プラスチックを原料である炭化水素やガスなどに分解し、再利用するケミカルリサイクル、③廃プラスチックを燃やした時に発生する熱を、再びエネルギーとして活用するサーマルリサイクルである。そして、実は日本は世界と比べるとリサイクル率がとても高いのである。日本はペットボトルリサイクル率が米国の18%に対し89%と、とても高いのだ。しかしながら、ペットボトル問題は解決するどころか増え続けている。それは、マテリアルリサイクルの難しさにある。ペットボトルを基に考えてみよう。ペットボトルからペットボトルへ再利用することをボトルtoボトルという。技術的には可能だが、コストがかかる。それに、透明でクリアなボトルから再び透明なボトルを作るのが難しい。リサイクルの過程で不純物が混じると中身が見えなくなり、消費者が買わなくなるため、需要と供給が合わなくなってしまう。これらの問題から、ペットボトルはボトルtoボトルが難しく、新たに作られ一度しか使われないため、プラスチックゴミを生み出す原因になっている。
一方、ペットボトルを活用する取り組みは様々な所で行われている。例えば、コートジボワールでは多くの子供が教育を受けることが出来ていない。それは、学校の教室が足りない又は1クラスの人数が多すぎるからだ。その中で、プラスチックで作ったブロックを使い学校を建てる取り組みが、ユニセフとコロンビアの企業によって行われている。また、大型ハリケーンの2倍の風に耐える家を、JD・コンポジッツというカナダの建設会社が作った。60万本分のペットボトルを使い作ったパネルは、どの壁材に比べても丈夫だという。家の価格も従来構造の同サイズの家とほぼ変わらないか、10%高い程度だそうだ。窓は防風ではないため、そこを工夫することで被災の多い地域で役立つことが出来ると述べていた。このように、ペットボトルは様々に活用されているが、そのためには不純物の入っていないペットボトルやプラスチックが大量に必要になる。そのため、ゴミ処理場では人が手作業で分別しているのが現状だ。
だからこそ、私達に出来ることは、プラスチックの活用の幅を広げるためにも一人一人が綺麗に洗って捨て、不純物のないペットボトルを増やすことが大切だと考える。少しでも多くのペットボトルを再利用することで、海の環境を守り教育問題や自然災害による被害軽減などに繋げることが出来るからだ。