カンボジア 教育ボランティアへの海外ボランティア
勉強を教えに行ったはずなのに自分が一番教わって帰ってきました。たくさん感謝されたけれど、誰よりも感謝したいのは私でした。教師になる前にとても大切なことを子どもたちが教えてくれました。
視野が広がった
学生時代のカナダでの1年間の英語留学を通して、国際公用語としての英語の必要性や国際人として生きる魅力を学びました。
英語を使って世界へ踏み出していく大きな可能性を秘めたこどもたちへの英語教育という分野で自身の経験や知識を少しでも役に立てることができればと思い参加を決意しました。
日本とは異なるカンボジアの文化を知り、そこから多くを学び、自身が大きく成長できるよう精一杯努めたいと思います。
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大学3年生から長期留学をして英語を学び、帰国後就職活動を終えて長年夢であった英会話講師として内定を頂くことができました。最後の学生生活の夏休みを有意義なものにしたいと計画を立てている中で、このカンボジア教育ボランティアのプログラムを見つけました。来年から教師として働く前に外国での英語教育の在り方を実際に見てみたいと思い、迷わずにこのプログラムへの参加を決意しました。
到着した翌日、初めての授業でわくわくしながら教室に向かった気持ちは今でもよく覚えています。5年生bクラスを担当することになり、教室に入った瞬間、子供たちの元気な笑い声で包まれた明るい教室を前に胸が高鳴りました。私より前に到着していた日本人ボランティアの方の分かりやすくスムーズな授業を見て、私も短期間でこんなハイレベルな授業ができるのだろうかと不安になったこともありましたが、悩む暇もなくすぐに自分がメインとなって英語の授業を進める日がやってきました。私が英語の文章を読むと大きな声で元気に繰り返してくれて、問題を解くときには腕をつかんで「できたよ!」と誇らしげに報告してくれる生徒たちの勉強に対する真っ直ぐな姿勢に心から感動しました。授業の最後にはみんなで歌を歌いました。アンジェラアキの「手紙」を初めて歌ってくれたときには、まさに14歳、15歳の5年生のみんなのことをそのまま歌っているかのようで、涙をこらえたのを覚えています。
当たり前だけれど、生徒はみんなひとりひとり違っていて、それぞれに輝く瞬間があるということ、そしてひとりひとりの個性を精一杯大切にして尊重してあげること、そんな教育の原点となる大切なことをカンボジアの子供たちから教わりました。授業を重ねていくうちに名前を覚えてくれて、子供たちとの距離もどんどん近くなり、日に日に教育に対するやりがいというものを実感している自分に気がつきました。
カンボジアという国での教育に携わる中で、毎日子供たちといっぱい遊び、いっぱい笑い、数え切れないほど楽しいことがたくさんありました。それでももちろん、楽しいことばかりではありませんでした。日本人の知らない「貧困」の現実を思い知ったあの瞬間や子供たちの物乞いに胸が痛んだことなど辛いと思うこともたくさんありました。ですが同時に、絶対にその現実から目をそらしてはいけないと強く思いました。
「いつ日本に帰る?日本に帰るときその靴ください」懇願する目でまっすぐ私を見つめてくる子どもを前に、うまく言葉が見つからない情けない自分がいました。そんな出来事があってからは葛藤の毎日でした。日本人が物を与えればその子どもは少しでも豊かになれる。一人が豊かになることでまたひとりが貧しくなる。個人的にこどもたちに物を与えないで欲しいと現地スタッフの方からお話があり、私も物乞いをされる度にぐっとこらえました。生徒と仲良くなる程好かれたくて物をあげてしまいたくもなるけれど、それはきっとカンボジアを救うことには繋がらない。もらえる子ともらえない子。
日本人ボランティアの不平等で偏った小さな優しさは、貧しい国においてはある意味では罪になるのではないかと感じました。
アンコールワットで出会った出稼ぎの小さなこどもたちの必死な姿、3歳くらいの小さな子どもまでが写真を撮ると「one dollar」と言うことをしつけられている現実。ショックだったこと、辛かった気持ちは絶対に今後も忘れてはいけないと自分に誓いました。
ボランティアの意味ってなんだろう。教育の理想の在り方って?そんな答えの出ない大きな課題が私の中でぐるぐると回っていました。
このボランティア活動を通じて、私は一眼カメラを片手にこどもたちの無垢な笑顔、ふとした寂しげな横顔、勉強しているときのまっすぐな瞳などありのままを写真に納めてきました。辛い現実を知る一方で、私が出会ったカンボジアの子どもたちのあの笑顔は、絶対に穢れなくきらきらと輝いていました。
豊かになりすぎてしまった日本人が昔に忘れてしまった生きるうえでとても大切なことを、カンボジアのゆったりと流れる時間や景色、あたたかく笑う村の人々全てから改めて教えていただけたことに深く感謝しています。
行って良かった。出会えてよかった。
私一人のボランティアで子どもたちを救うことはできないと思います。でもきっとそんな小さな力が重なれば将来何か形となるはずだと信じています。実際に現地に行った私にできることは、ありのままの姿を多くの人々に知ってもらえるよう努めることだと思います。少しでも多くの人々が教育ボランティアに興味を持ってくれれば、きっと明るい未来がつくれるのではと思います。
カンボジアのこどもたちに出会って、改めて教師っていいなと思いました。就職を前に、改めて先生になりたい!と思うことができました。
教育ボランティアは教えにいくこと。でも絶対にカンボジアの子どもたちから私が教わったことの方が多いのです。「先生ありがとう!」と見送りにきてくれた5年生のみんなが言ってくれたけれど、誰よりも感謝しなければいけないのは私のほうでした。
5年生のみんなが将来素敵な大人になることを願いながら、私は彼らに負けないように絶対に素敵な英語教師になります。
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出会えたこどもたちに感謝を伝えたいから
学んだこと全てが本に価値があって絶対に後悔のない経験になります。難しいことなんて考えずにただとにかく行ってみる。それが何より大事なことなんじゃないかなぁと私は思います。頑張ってください!