ベトナム スタディツアーへの海外ボランティア
やっぱり子供達ってどこの国でも一番輝いている存在なんだなあ
感謝でいっぱい
中学二年生の時に家族で南アフリカのソウェトを訪れた。まだ未熟だったとはいえ、大きな衝撃を受け、その頃から「将来は国連で、願わくはユニセフで働きたい」と思うようになった。それまで夢として現実味を帯びていなかったその思いも、この4月から高校三年生になり、大学受験を迎えるにあたり、その夢を具現化する必要性がでてきた。一昨年、休学を決意してまで10ヶ月間アメリカに留学したのも、夢を叶える一歩を踏み出すためであった。
本来ならば受験生としての夏休みに、わざわざ海外でボランティアをするのではなく、勉学に励むべきかもしれない。しかし、私には6日間の日本での受験勉強の時間を失うこと以上に、このベトナムでの体験で多くのことを学び、現地での経験を最後まで受験と闘う力に換えられる自信がある。
私はこのプログラム以外にも多くのプログラムを調べたが、やはりこのベトナム行き以外を考えることはできなかった。なぜか。最大の決め手は、孤児院を訪問し、ボランティア活動をする機会があることだ。前述のとおり、私は国連、中でもユニセフで働くことを熱望している。恵まれない子どもを相手にした職に就きたい理由は、恵まれた環境に生まれた私には、そうでない環境に生まれた人に対して責任があると思っているから。どんなに傷ついても、大人に抵抗することを許されない彼らに、手を差し伸べ、共に生活改善を目指すことができるのは私たちだ、と思っているから。
だから、教科書やホームページに写真付きで掲載されているような現状を自分の目で見たい。短い期間ではあるものの、何か子供たちと共有して帰国したい。
このような思いで応募を決意した。
今回最も痛感したのは、各国の「歴史」の捉え方の違いだった。今まで学校であまりベトナム戦争について学んだ記憶がなかったので、実際に世界史の教科書を調べたところ、高校の世界史Bの教科書でさえ、ベトナム戦争に関する記述は一ページにも満たないほどしかなかった。もちろん、史上のすべての戦争について詳しく学ぶことは時間の都合上厳しい。ただ、これほどにまでアメリカとの関係を重視する日本国民は、もっとベトナム戦争について知るべきではないのか。
このプログラムに応募した時点で、枯葉剤の影響による結合双生児や水頭症の子供の存在は知っていたが、孤児院やストリートチルドレンの小学校、そして現地病院の平和村に行く前に、クチトンネルや戦争証跡博物館を訪れて現実を目の当たりにして、心の準備をすることが出来て良かった。それまで紙面で眺めていたものを、写真や遺品などを見ることで、徐々に現実味が湧いてきて、何とも言えない嫌悪感に襲われたこともあった。しかし、同じ人間が犯した過ちを見つめ直さない訳にはいかない。これをきちんと受け止めて、行動を始めること。今を生きる私達にできることはそれだけだ。だから、史実を詳しく知った上で子供達と触れ合うことができて良かった。
孤児院や小学校で出会った子供達の目は、キラキラ輝いていて眩しかった。最初は全く彼らの姿を想像することが出来ず、「悲しい目をしているのかな」「愛に飢えて寂しい思いをしているのかな」「そんな彼らとどのように触れ合ったらいいのかな」などと、不安でいっぱいだった。しかし、予想していた光景とは全く違った。重度の障害を抱える子供達は、寝たきりの状態でほとんど動くことができなくて、見ているだけで辛くなった。何も悪いことをしていない彼らが、こんな風に苦しんでいる姿を見て、やりきれなかった。中には日本の幼児と変わらない、走り回ることが大好きな子供もいた。ボランティア、として訪問したはずなのに、いつの間にかこちら側が元気をもらっている、そんな状態だった。
このプログラムのメインであった子供たちとの関わりに加え、一緒に参加した他のメンバーや、最初から最後までサポートしてくださったガイドさんとの出会いは、忘れられないものとなった。特に、私は参加者の中で唯一の高校生だったので、大学生や社会人の皆さんから将来のための多くのアドバイスをいただいた。ベトナムという国から受けた刺激のみならず、同年代ではあるが普段なかなか関わる機会のない年齢層の方々から受けた刺激は非常に大きかった。
受験生という立場上、賛否両論ある中での出発となったものの、今、無事に帰国して、やはり参加して正解だった。どうしても学校の事が気になって閉鎖的になりがちな日本の高校生ではあるが、私のような夏休みの過ごし方を、自信を持って提案したい。
まずは、今回自分が経験したことを周りの人と共有することで、未だに戦争の影響を受けている子供達の存在を、より多くの人に知ってもらいたい。大学に無事に進学したら、また違うボランティアに参加して、自分の夢に一歩でも近づきたい。
予想以上に素晴らしい体験と一生ものの出会いがあったから
日本でなんとなく一週間を過ごすのはもったいない!そんな時は行動してしまいましょう!